SAO編−白百合の刃−
SAO23-冷女の温度
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た。だけど、リズベットに悟られないように私は反抗している。それは、私が人の温もりを求めていると同時に、恐れを抱いている。それがリズベットの手を払うことはせず、自分からリズベットの温度を浸らないように反抗している。そうじゃないと、私が崩れそうだ。
「……ねぇ、ドウセツ」
どれくらい会話をしていないかなんて気にしてなかったけど、急に黙っていたら急に話しかけて来た。
「相談……のってくれない?」
「相談なら、アスナに聞いて」
「アスナは寝ているから無理」
「だったら、明日にでもアスナに聞けばいいじゃない」
「無理だって……アスナには言えないことだし……」
「……そう」
何故だからわからない。
私の心は定まらないから、簡単に許してしまう。
「……こんな私に相談とか、なに考えているんだか」
「べ、別にいいでしょ……」
リズベットはアスナにも言えないことを私に話した。
その内容はキリトと言うプレイヤーのことだった。私と同じようにあっさりとオーダーメードを頼んだこと、私と同じように剣を壊したこと、私と同じように素材を入手するためにフィールドダンジョンへ向かったこと、洞穴とは違う穴で二人っきりになったこと、ここまでは私と共通するところだった。キリトと私と違うことは穴で一晩過ごしたこと、そして、リズベットはキリトに恋したことだった。だけど、親友のアスナが恋する相手がキリトだと知ってしまったリズベットは身を引いてしまったことを話してくれた。
「あたしさ、たまに思ってしまうのよね。キリトが好き、アスナのことも好きなのに、キリトの傍にいるのはあたしじゃないんだって……アスナに嫉妬してしまう。でも、あたしはアスナに幸せになってほしい。アスナの恋がキリトに結びついてほしいのも本望。だからかな……時々不安になる。あたしは…………“どっち”なのかってさ、わからなくなる。」
「…………」
恋の気持ちなんてわからない。したことないし、されたこともない。……愛なんて知らない。
だけど、“どっち”というリズベットが表した二つの気持ちは、わかる気がした。それでも、リズベットの気持ちなんてわかることなんてないだろうけど。
「どちらとも選べないの?」
リズベットは首を左右に振る。
「どちらとも選べたくないことではなく、どちらとも選びたい、かな。アスナには幸せになってほしい、なのにアスナのことを嫉妬して邪魔者扱いしてしまうかもしれない。キリトはあたしの恋人になってほしいって、欲張ってしまいそうな時がある。そして欲張った結果、全部失う…………そしたら、あたし……どうなっちゃうだろう」
「…………」
「ごめん……なに言っているんだろうって、話だよね。全部あたしの問題なのに……」
……そんな。
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