SAO編−白百合の刃−
SAO23-冷女の温度
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だから?」
「手が冷たいってさ、心が温かいんだよ」
「そんな迷信を信じているの? だったら、炎系のモンスターはみんな心が温かいの?」
「あんたって……優しいのかバカなのかわからないわね」
「バカにバカは言われたくない」
「うっさいな……」
語り出す。リズベットは私を優しい人と思って語り出す。
「最初に出会った時は……アスナの嘘つきって思った。今もムカつく奴だと思っているわ。でも、なんとなく……こうやって、手を繋いでいると、ドウセツの心が温かいって伝わっている気がする」
「気持ち悪いこと言わないで」
これは皮肉でも毒を吐いているわけでもなく、本心だった。吐き気がする言葉だった。
そう思わせているのは、私自身の拒絶だ。それを知っているのか、知らないのか理解できない私は突き放すことはできなかった。
「気持ち悪いって……本当にそう思うのだったら、あんたはずっと前からあたしのことを拒絶しているわ。それこそ、あたしをこんなところには、絶対に連れてこないでしょ?」
「…………」
何故、私に寄ってくる人はお節介な人が多いんだろう。
どうして、私が優しい人だって思わせてくるのだろう。
やめてほしいのに、そんなんじゃないのに……。
リズベットが言ったように、拒絶して突き離せばこんなことにはならなかった。こんな風に思わなくても良かった。だけど、私はそれができなかった。
私は弱い。弱いから、アスナやリズベットを、本気で傷つけて、二度と関わらせたくないように拒絶することが出来なかった。たった一つのことさえも、握られている手を振り払うことすらもできないくらいに私は弱かった。
みんなが知る、私はただ強がっているだけ。
「…………バカ」
「何回バカって言うのよ」
「バカが治るまでに決まっているじゃない」
性格が変わっているなら、もしも自分にはない勇気を得られるのなら、アスナやリズベットに、素直に話せられたのだろうか。でも、それは多分、自分ではない似た自分になってしまう気がする。根本的なところを変わるということは、それはもう別人と一緒だ。
だから、私は変わらなくて良いかもしれないと、別人になってしまった自分を捨てた。それと同時に、そんなことを考えているから私は弱いんだと、リズベットには気づかれないように自己嫌悪になってしまった。
●
リズベットが起きて、隣に近寄ってきてから一時間くらいは経過した。未だに猛吹雪が止む気配一つも感じられない。
外は相変わらず悪天候で雪が舞い、風は荒れていて、白銀の世界とは程遠い地獄のような雪景色。中はリズベットが掴んだ左手を離そうとせず、黙ったまま外を眺めていた。
いつまでリズベットに握られている手を払いたいところだったけど、離す気にはなれなかっ
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