閑話―荀ケ視点―
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ですか?」
「南皮よ」
「南皮って、確か袁―――」
袁紹の性別を思い出した荀ケは、男の主君の元で働く自分を想像して気を失う。
「……大げさねぇ、でも丁度いいからこのまま馬車に乗せてしまいましょう。後は人たらしと噂の袁紹様に期待ね!」
こうして、荀ケの母親による荒治療的な仕官は決められた。
………
……
…
「こちらの謁見の間にて、袁紹様はお待ちでございます」
「ありがとう」
案内をしてくれた侍女に笑顔で会釈し、中に入る。
すると、重鎮らしい者達の目線が突き刺さった。
(結構いるわね、しかも男も多い……、まるで舐めまわす様な視線、嫌になるわ)
一瞬、顔を歪めそうになり何とか笑顔を保つ、そしてそのまま玉座の前まで移動した。
(あれが……袁紹)
荀ケの瞳が袁紹を捉える。―――なるほど、美形だ。それだけでも今まで見てきた男達とは異なる。
女顔で長髪なため、一見間違えそうだが、体が良く引き締められており、袖口から覗く腕の太さや、筋肉により盛り上りを見せる他の各所が彼を男だと認識させる。それでいて大きすぎない無駄を省いた、しなやかな体躯だ。
「お初にお目にかかります袁紹様。荀ケと申します――」
(見た目は噂通りって感じね、でも男には仕える気にはなれないわ)
「母達ての希望により参りましたが、私は非才なる身、余りご期待に応えられるとは思えません」
荀ケはまず自身が考えていた、皮肉めいた言葉を口にする。
伝わればよし、伝わらなければ一時的に仕官し、此処の政策に難癖つけて追い出させる算段だった。
―――おおっ、なんと謙虚な
―――荀家一の才女なのに驕った様子が無いとは
―――最近の若者にしては立派ですな!
―――左様、謙虚さこそが若者の美徳である
彼女の一言に重鎮達が感慨の言葉を口にする。まさか自分達の主でもある袁家当主を邪険にするものなど、想像すらしたことが無かった。
(ふん!やっぱり無能ね、今の真意がわからないなんて)
「面を上げよ」
「はっ」
ゆっくり顔を上げると袁紹と一瞬目が合った。そして慌てて視線を逸らす。
(何よあの目、まるで外ではなく内を覗き込もうとするような――、やましい考えがあるに違いないわ!)
「よく来てくれた我はお前を歓迎する――、と言いたい所ではあるが一つ聞きたいことがある」
「何なりと」
(私の才を量る問答かしら?何にしても所詮男の――)
「お主が男を嫌う理由は何だ?」
「っ!?」
ざわっ、と謁見の間は騒然としだした。そして当の荀ケはさすがに予想外の質問だったらしく、目を白黒させている。
(い、いきなりなんて事を聞くのよ、こ
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