暁 〜小説投稿サイト〜
恋姫†袁紹♂伝
閑話―荀ケ視点―
[3/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ですか?」

「南皮よ」

「南皮って、確か袁―――」

袁紹の性別を思い出した荀ケは、男の主君の元で働く自分を想像して気を失う。

「……大げさねぇ、でも丁度いいからこのまま馬車に乗せてしまいましょう。後は人たらしと噂の袁紹様に期待ね!」

こうして、荀ケの母親による荒治療的な仕官は決められた。


………
……



「こちらの謁見の間にて、袁紹様はお待ちでございます」

「ありがとう」

案内をしてくれた侍女に笑顔で会釈し、中に入る。
 すると、重鎮らしい者達の目線が突き刺さった。

(結構いるわね、しかも男も多い……、まるで舐めまわす様な視線、嫌になるわ)

一瞬、顔を歪めそうになり何とか笑顔を保つ、そしてそのまま玉座の前まで移動した。

(あれが……袁紹)

荀ケの瞳が袁紹を捉える。―――なるほど、美形だ。それだけでも今まで見てきた男達とは異なる。
 女顔で長髪なため、一見間違えそうだが、体が良く引き締められており、袖口から覗く腕の太さや、筋肉により盛り上りを見せる他の各所が彼を男だと認識させる。それでいて大きすぎない無駄を省いた、しなやかな体躯だ。
 
「お初にお目にかかります袁紹様。荀ケと申します――」

(見た目は噂通りって感じね、でも男には仕える気にはなれないわ)

「母達ての希望により参りましたが、私は非才なる身、余りご期待に応えられるとは思えません」

荀ケはまず自身が考えていた、皮肉めいた言葉を口にする。
 伝わればよし、伝わらなければ一時的に仕官し、此処の政策に難癖つけて追い出させる算段だった。

―――おおっ、なんと謙虚な

―――荀家一の才女なのに驕った様子が無いとは

―――最近の若者にしては立派ですな!

―――左様、謙虚さこそが若者の美徳である

彼女の一言に重鎮達が感慨の言葉を口にする。まさか自分達の主でもある袁家当主を邪険にするものなど、想像すらしたことが無かった。

(ふん!やっぱり無能ね、今の真意がわからないなんて)

「面を上げよ」

「はっ」

ゆっくり顔を上げると袁紹と一瞬目が合った。そして慌てて視線を逸らす。

(何よあの目、まるで外ではなく内を覗き込もうとするような――、やましい考えがあるに違いないわ!)

「よく来てくれた我はお前を歓迎する――、と言いたい所ではあるが一つ聞きたいことがある」

「何なりと」

(私の才を量る問答かしら?何にしても所詮男の――)

「お主が男を嫌う理由は何だ?」

「っ!?」

ざわっ、と謁見の間は騒然としだした。そして当の荀ケはさすがに予想外の質問だったらしく、目を白黒させている。

(い、いきなりなんて事を聞くのよ、こ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ