短編69「僕はしゃべれる」
[8]前話 [2]次話
事の発端は、小学時代の公園での出来事でした。
「おじちゃん苦しいの?」
横たわっている、汚らしいおじさんはホームレスでした。
「ああ、大丈夫だよ坊や」
しばらく話ていると、近所のおばさんが警察を連れてやってきました。辺りには、あっという間に野次馬がいっぱいになりました。
「ホームレスが凍死だってね。死亡したのは一昨日だって!」
そんな囁き声が聞こえました。
その時、分かったのが、僕がしゃべってた人は、一昨日死んだ人という事でした。
僕は死体と話せるようになりました。その代わり、生きた人とは話すのが難しくなりました。僕は一種のコミュニケーション障害だと自分の事を思っています。
でもいいのです。何故なら、今の僕には沢山の友達が居るから。そう僕の部屋には、知らないおじさん、おばさん、優しそうなおじいちゃんおばあちゃんがいて、可愛い妹も出来ました。
「まあ、いつの間にこんなに沢山の人と知り合ったの!?」
そして、生きていた頃は、全く話さなくなっていた両親とも、話せるようになりました。妹が言いました。
「お姉ちゃんが欲しい?分かったよ、じゃあ……」
僕は妹の頭をなでながら言いました。だから今日は、家族になる為の準備をしようと思います。
「お兄ちゃんも前々から……
あの子と家族になりたいと思っていた」
おしまい
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ