ブルーミストラル編
出発
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そろ〜りそろ〜り・・・
ズルッ
「きゃっ!」
「危ね!」
ガシッ
俺はお酒のビンに足を滑らせてしまったウェンディの腕を掴む。
「ありがとうシリル」
「ううん。ケガはない?」
「大丈夫」
俺たちは小さな声で話をしている。理由はギルドの皆さんは現在眠っているからだ。
「・・・ウェンディ、あんたそんなんで本当に大丈夫なわけ?」
「やっぱりナツくんたちも一緒の方がいいんじゃない〜?」
シャルルとセシリーがウェンディに向かって言う。二人はウェンディのことが心配なんだろうな。
「シャルルとセシリーの心配性!大丈夫だってば!」
「どこがよ」
「僕心配性なんて初めて言われたよ〜」
「だろうな」
ウェンディは手をバタバタと振り回しながら言う。シャルルの言う通り俺の目から見ても大丈夫なようには見えないんだが・・・
「これからは大丈夫なの!!今回の依頼は私とシリルの二人でやり遂げてみせるんだから!!
いつも失敗したり助けられたりばっかりだけど・・・胸を張ってこのギルド・・・妖精の尻尾の魔導士ですって言えるようになりたいの!」
ウェンディが想いを強く込めた声で言う。
「だから・・・」
「ウェンディ?」
「シャルルとセシリーもそばにいてくれる・・・?」
涙目になりながら言うウェンディ。実は今日は俺たちが妖精の尻尾に入って初めて二人だけで行く仕事の日なのだ。ウェンディとは化猫の宿にいた頃にしょっちゅう一緒に仕事には行っていたが、どれも簡単な依頼だった。
今回は初めて二人だけで大きな仕事に挑戦するからウェンディが不安になるのもよくわかる。
シャルルとセシリーもその気持ちを察してか・・・
「バカね!どこにだって一緒に行ってあげるわよ!」
「もちろんだよ〜!ウェンディ〜!」
二人はウェンディにやさしくそう言う。
「俺も一緒にいるからさ、だからそんな泣きそうな顔するなよ」
「し・・・してないよ!!」
「してたわよ」
「少し泣いてたけどね」
「うるさいよ!!」
俺がウェンディに言うとウェンディは顔を赤くしながら反論する。
「それじゃ・・・行こうぜ!」
「うん!あ!その前に・・・」
「「「?」」」
ウェンディはギルドから出たところで立ち止まって振り返る。なんだ?忘れ物か?
「いってきます!!」
ウェンディはギルドに向かっておじきをする。そういうことか。しっかりしてるな。
「シリル!行こっか!」
「うん!行こう」
ウェンディが俺にそう言う。俺もギルドに一礼してからウェンディと一緒に歩いていく。
さぁ!ウェンディとの初めての大仕事!絶対成功させるぞ!!
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