アイングラッド編
紅き剣閃編
The Crimson Sword Line ―紅き剣閃
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俺の周りを囲む3匹の獣人型モンスター、《リザードマンロード》。そいつは単独でも十分脅威になる厄介者だ。
「……王(ロード)が3匹いるのかモンスターの世界は」
その面倒さに思わず《モンスター観察記録?リザードマンの支配体系》とか題して情報屋に押し売ってやろう、高額で……などとどうしようもないことを思っても仕方ない。
動くどころか剣すら抜かない俺を格好の獲物と見たのか、3匹のリザードマンが同時に飛び掛かってくる。
手にする曲刀の攻撃範囲に入った途端、赤いライトエフェクトを伴って刀が降り下ろされる。
だが、彼らが斬りつけた場所には誰もいなかった。
「よっと」
3匹が固まった所のちょうど首の高さの所を横単発重攻撃のソードスキルで薙ぎ払う。
弱点部分に重攻撃をクリティカルに食らった3匹は呆気なく爆散した。
攻撃をくらう刹那、敵の頭上に飛び上がり、背後から一閃。人型には結構有効なので気に入っている戦法だ。
「さてと……どうするかね」
最近は忙しすぎて中層への支援があまりできていない。
約2年に及ぶ報われない慈善事業により、だいぶ犠牲者は減ったものの少しの不注意で死んでしまうのがこのゲームだ。
午後3時、迷宮区から歩いて帰るにはちょうどいい時間だ。
「……帰るか」
大太刀を鞘に戻し、やや足早に出口へ歩き出した。
しばらく歩くとプレイヤーの戦闘サウンドが聴こえてきた。
会話が聞こえないことからソロプレイヤーだとわかる。一度斬りつけ、引いて相手の突進系ソードスキルを誘発する。
その戦略は成功したようで、程なく4連撃が撃ち込まれ、戦闘は終了した。こんな最前線の奥でソロ狩りをしている酔狂なプレイヤーは片手の指で数えられるぐらいしかいない。
だが、俺は先程の戦闘音の主が誰か確信を持っていた。
「苦戦してるようじゃないか、キリト」
「よお、レイ。……ただの小休止だ」
「強がんなって。時間を見ろよ。何時から籠ってんだ?」
「……帰るか」
「それがいい」
俺達は他愛のない会話をしながら迷宮区を出てうっそうとしげる森の中の小路を歩いていると聞き慣れない獣の鳴き声が聞こえた。
瞬間的に体を緊張させ、手を剣の柄に伸ばす。直後に音源の方向に《索敵》をかけると隠蔽状態のモンスターを発見した。
(……あれは)
「ラグーラビット……」
「キリト、投擲スキルどのへん?」
「……800ちょいかな?」
「いけるか?」
「……やってみる」
キリトはゴクッと喉を鳴らし、腰から投擲用のピックを抜いた。徹底的に鍛えられた敏捷値によりスピードが補正されたピックは狙い違わず命中した。
が、
「ピィィィィッ
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