八十六 混然たる森の中で
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が強張る。直後、ナルは天高く舞い上がった。
「「「「―――ナル!!??」」」」
今度はナル自身が次郎坊に強く投げ飛ばされたのだ。木ノ葉メンバーの中でも小柄な身故、シカマル以上に吹き飛ばされる。
ぐんぐん地面から遠ざかる中、ナルは体勢を整えようと空中で反転した。だが、それを見越していた次郎坊がナルの足首を宙で掴み、再び投げ飛ばす。
「く…ッ」
それでもなんとか着地する。地面に激突するのは免れたが、シカマル達から随分引き離されてしまった。
何度も投げ飛ばされたので、ふらつく身体を叱咤してナルは立ち上がる。遠目に、シカマル達がこちらに向かって来るのが見えた。呼び掛けようと口を開く。
しかしながら、仲間との合流は眼前に聳える巨体にて阻まれた。
「逃がさん」
目前の次郎坊と、駆け寄って来る仲間達にナルは視線を交互に遣った。逡巡は一瞬だった。
「―――皆、先に行ってくれってば!!」
自分の許へ来させまいと声を張り上げる。こちらへ向かって来ていたシカマル達が足を止めた。
キバが大声で反論する。
「馬鹿っ!そんな怪力野郎とお前が闘えっか!!」
「その通りだ。お前のような非力な女がこの俺に勝てるわけが無い」
嘲笑した次郎坊が印を結ぶ。そして先ほどの術を再び繰り出した。
「【土遁・土牢堂無】!!」
「そんな術、何度も食らうと思うかっ」
また閉じ込められてなるものか、と大きく飛び退く木ノ葉の忍び達。だが、それこそが次郎坊の思惑だった。
術を発動する。自分自身に向かって。
「なに!?」
次郎坊のすぐ傍にいたナルも巻き込まれる。
シカマル達の眼前で、次郎坊とナルのみを閉じ込めた土牢が堂々と鎮座した。
「ナル!!」
寸前まで内部に閉じ込められていた自分達が、今度は外部から【土牢堂無】を見ている。
なんとか壊そうとするが、土牢は強固な守りに徹しており、破れそうもなかった。
現在閉じ込められているナルを除いて。
「無事か!?ナル!?」
土の壁を叩いたシカマルが、中にいるナルに必死で呼び掛ける。
だが呼び掛けに応じたのは、期待を裏切って、敵のほうだった。
「逃がさん、と言っただろ」
「…ッ、てめぇ!!」
次郎坊の返事に、キバが激怒する。怒気を発する仲間達を横目に、ネジが冷静に【白眼】を発動した。中を透視する。
【白眼】に飛び込んできたのは、次郎坊に今にも殴られそうになっているナルの姿であった。
ナル目掛けて振り上げられる拳。間近から襲い来る、強烈な殴打。
あんな至近距離から殴られては、一溜りも無い。ましてや次郎坊は怪力なのだ。
身体が無意識に土牢を壊そうと動く中、ナルに視線を遣って、ネジは思わず息を呑んだ。
視界に映る、ナルのチャクラ。それは以前、中忍
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