第二十一話。妖精の神隠し
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に息を呑む気配を感じながらも俺は体を動かし続けた。
刺が瞼に刺さるが、俺は気にせず顔を突き出した。
刺が手首に刺さるが、それも気にせず俺は腕を振るった。
刺が首筋に刺さるが、それも気にせず、俺は足を踏み出した。
踏み出した途端、真紅の蔦に俺の血がさらに降りかかった。
「や、やめてモンジ??」
「やめて下さい、疾風さん??」
前と後ろからかかる悲痛な叫び声。
いつもの俺なら、女の子にそんな声を出させたりしないだろう。
女の子は笑顔じゃないといけない、と思っているからね。
いや、そもそも普段の俺なら、女性と関わろうとすらしないかもしれないけど。
だが……。
今の俺は腸が煮えくり返っている状態だから、そんな事を気にしていられない!
「間違ってないが、気に入らないな??」
俺の姿は血まみれになっているだろう。
大量の茨に刺されたせいか、かなりの出血をしているのが自分でも解る。
貧血でぼんやりして意識を失いそうになるが、倒れそうになるのを気合で堪える。
ここで俺が倒れたら彼女達を救う事なんて出来ないからな。
「自分が消えればいいとか、自分が辛い目に遭えばいいとか、そんな事は言うなよ!
音央は音央らしく『うっさいバカ!』とか言って強がれよ!
君の悩ましい体型に癒やされる男の子は俺だけじゃないんだよ?
君は弩級戦艦級の立派な武器を持っているんだ!
それに女の子のファンがいるって理亜も言ってたんだ!
明るくて、元気でスタイルもいい……。
一之江が欲しくて堪らないものを持っているのに……。
人に求められてるのに、勝手に消えようとするなよバカ!」
「なっ……あ、あんたに言われたくないわよ、バカ??」
「『神隠し』の方の音央もバカだ!
自分が犠牲になればいいとか、そんな事言うな!
本当は自分も外に出たかったんだろう?
音央と一緒に、笑顔で過ごしたいと思っているんだろう?
なら、何で諦めて達観してるんだよ、バカ??」
「っ……一緒に、なんて……それが出来ないから……!」
「出来る??」
無理、という言葉は禁止されてるからな。
前世の相棒に……。
前世でも色々な事件に巻き込まれ、そして今まで体験してきた経験から断言出来る!
人間、死ぬ気になってやれば出来ない事なんてない。
それを俺は学んだんだ。
だから俺は音央に伝えたい。
諦めないで挑むという『強さ』があるという事を。
「出来る?? 俺がやってやる! だから諦めるな??
二人とも、自己主張するのは胸だけじゃなくて、思っている事を……ちゃんと本心を言え??」
そう、本当だ。
本当の気持ちを俺は知りたいんだ。
「う、うるさい、うるさい、うるさいいいいい??」
『
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