壊れた心〜
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少し経った頃には攻略組との差は五にまで縮まった。そして前からケイタが画策していたギルドホームの購入。それも現実に近付きづつあった・・・けど・・・
「だから、そこで踏み込まないと反って危ないんだってば」
「だ、だけど・・・」
「コウハ、サチにそんな責めるように言うなよ」
「・・・そう、だね。ごめん、サチ。・・・前線は怖いしな・・・」
「う、ううん・・・コウハは悪くないよ。悪いのは・・・」
そう、サチの戦闘スタイルの移行だけが上手くいかなかった。・・・でも、それは必然かもしれなかった。例えばホラー映画を見てる際、不意に幽霊など不気味なものが現れると驚くだろう。SAOはそこから更にその対象に近づき、恐怖をリアルに感じてしまう。・・・要するに、怖がりなサチはお世辞にも前衛に向いているとは思えなかった。そして周りが順調に進む中で何も進歩がないサチは、それだけで多大なプレッシャーを身に受け・・・ある日、宿屋からサチは姿を消した。
「僕達は迷宮区に急ぐよ!」
「俺は一応街中を捜してみる。・・・兄貴は?」
「・・・フィールドにも幾つかメンバーリストから居場所を追跡できない場所がある。俺はそこを捜してみるよ」
俺達はそれぞれ散らばり、走り出す。
「・・・索敵なら・・・」
ソロの時に使っていた索敵。だがまだ熟練度が低いそれでは、沢山の関係ない反応を拾ってしまって俺は索敵を諦める。
「くそ・・・!サチ、何処に・・・!」
その時だった。フィールドを捜すと言ったキリトがいたのだ。
「(兄貴・・・?)」
そのままキリトは歩いていき、街の外れにある水路に入っていく。
「どうしてこんな所に・・・」
入口まで近づいた時に、声が聞こえた。
「・・・ねえ、キリト。一緒にどっか逃げよ」
「(・・・サチ?)」
「逃げるって・・・何から」
「この街から。黒猫団のみんなから。モンスターから。・・・SAOから」
「それは・・・心中しようってこと?」
「・・・!」
俺は飛び出そうとしたが、飛び出したところで何か出来る訳でもないと思い、踏み止まる。
「・・・私、死ぬのが怖い。怖くて、この頃あんまり眠れないの」
・・・初めてサチと会った時、その目に浮かんでいた感情・・・それをようやく理解した。はじまりの街で皆を誘導した時に、特に子供達に共通していた感情・・・恐怖、不安、混乱。
「・・・」
それに気づかず、俺はサチに無理矢理戦えと強要していたのだ。
「(・・・畜生)」
俺はその場から立ち去る。
「・・・君は死なないよ」
そのキリトの声を背にしながら・・・
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