壊れた心〜
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・・・キリトがパーティーに入ってからは安定した狩りが続いた。それにサチの指導にも加わり、キリトは瞬く間にギルドに溶け込んでいった。
「兄貴は友達とか出来たのか?」
「なんだよ急に・・・」
「いやさ、兄貴って他人に踏み込むの苦手じゃん?だから、逆に踏み込んできてくれるような人とかに会ってないのかなーって」
そう言うとキリトは顔を逸らす。
「まぁ・・・そういう奴はいたよ。ゲーム始めた直後に俺を捕まえて、コツを教えて欲しいって図々しく言ってきた奴がな」
「はは、凄い人だね。・・・その人は?」
「・・・デスゲームが始まって、はじまりの街から出るときに・・・置いてきた」
「あ・・・」
「そいつ、友達がいるからって言って・・・俺は全員を守りきれないと・・・」
「いいよ、言わなくて。・・・ごめん」
「・・・」
長い沈黙が訪れ・・・先に口を開いたのはキリトだった。
「あのさ、亮・・・」
「ん?」
「もし俺とお前が本当の兄弟じゃないって言ったら・・・どうする?」
「は?・・・いきなり、何言ってんのさ」
てっきり場を和ませるジョークかと思ったが、キリトの表情が重いままなので・・・改めて聞き直す。
「・・・どういうこと?」
「・・・それは」
キリトはゆっくりと話し出す。
「俺はーーー」
聞かされた事実には正直驚いた。俺はずっとキリトと妹の三人兄妹なのだと思っていた。だけど違った。キリトは母さんの姉・・・つまり俺と妹の伯母にあたる人の子供・・・即ちキリトは本来なら俺達の従兄なのだ。だが、キリトの両親はまだキリトが一歳に満たない内に事故で亡くなってしまった。奇跡的に一命を取り止めたキリトを母さんが引き取った。
「・・・何の偶然か俺と亮は年も誕生日も血液型も同じだった」
「だからこそ俺達は疑問を持たなかった・・・」
更に驚きなのはキリトはそれを十歳の頃、住基ネットの抹消記録に自力で気付き、母さん達に聞き出したらしい。
「・・・流石兄貴・・・」
「俺は・・・ずっと兄貴面して、お前やーーー」
「だから?」
「・・・!」
「俺にとっては兄貴は兄貴だし・・・きっと、直葉だって・・・」
直葉。それが妹の名前・・・しばらく口にしていなかった名前だから、まるで他人の名を呼ぶような感覚に捕らわれた。
「・・・兄貴が誰の子とかそんなの関係ないよ。それとも、兄貴は俺等の兄ってのは嫌か?」
「そ、そんな訳・・・」
「ならよし。これからもよろしく、兄貴」
「・・・ああ」
キリトが加入してから驚く位に月夜の黒猫団は急成長した。たったの一週間で狩場を一フロアあがり・・・更に
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