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大晦日のスノードロップ
7部分:第七章
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っていた剣を受け取りそれを抜いた。その刀身で二人の肩を抱いた。
「これが私から貴女達への贈り物です」
「これってまさか」
「そう、君達は貴族になったんだよ」
 アレクサンドルが二人に言った。
「貴族って」
「嘘・・・・・・」
「嘘ではありません。今私が貴女達の肩を叩いたことこそが何よりの証」
「君達はその優しさに見合うものが与えられる価値があるから。それでだよ」
「けど貴族なんて」
「私達そんな」
「真に尊い心を持つ者こそが尊い者になるべきなのです」
 エカテリーナも二人に対して言う。
「だからこそ。私は貴女達を貴族にしたのです」
「はあ」
「けれど私達は」
「いや、君達の心は僕も御祖母様も受け取ったよ」
 まだ謙遜しようとする二人にアレクサンドルはまた言った。
「そして僕からもお願いがあるんだ」
「殿下からも」
「そうさ、友達になってくれないか」
「御友達に」
「うん、君達のような優しい心を持つ子達を友達に欲しいんだ。いいかな」
「殿下がそう仰るのなら」
「私達でよければ」
 二人はアレクサンドルを見上げて言う。夢を見ているような顔であったがそれに応えた。
「御祖母様、それで宜しいですね」
「君主となる者として必要なものは何か」
 エカテリーナはそれに応えてアレクサンドルの顔を見ながら言った。
「私は貴方にいつも教えている筈ですよ、アレクサンドル」
「はい、威厳と公平さ、そして」
「優しさであると。そうですね」
「はい、ですから私は彼女達を」
「よいのですね、それで」
「はい、ですから」
「わかりました。それでは」
 彼女は孫の願いを聞き入れた。そして娘達と彼の間に入る。それからその手で三人を包み込んだ。
「よいですか、心優しき子供達よ」
「はい」
「その気持ち、忘れてはなりませんよ」
「優しさを」
「そう、貴女達は母親を想う気持ちを」
 マーシャとリーザに対して述べた。次にアレクサンドルに顔を向けた。
「そしてアレクサンドルはそれを知り、近付こうとする気持ちを。よいですね」
「はい」
「わかりました。御祖母様」
 三人はそれぞれエカテリーナの腕の中で頷いた。
「時として優しさを忘れそうにもなります」
 それはこの国の主としての言葉であった。国の主であるということは多くの苦難も伴うことであるからだ。それは彼女自身が誰よりもよく知っていた。
「けれど、それが忘れられなかったら」
「その時は」
「今のように祝福が待っているのですよ。よいですね」
「祝福が」
「今の気持ちを忘れなければ」
 エカテリーナは三人を包み込みながら語り続けた。その言葉は三人を包み込み何時までもその心に残るのであった。
 スノードロップがもたらした幸福。それは本当のスノードロップ
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