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大晦日のスノードロップ
5部分:第五章
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「考えた介があったわね」
「うん。じゃあ次はね」
 編みながら朗らかにお喋りを続けていた。そこで扉をノックする音が聞こえてきた。
「誰だろ」
「私が出るわ」
 マーシャが席を立った。そして扉の方に向かう。樫の木で出来た重い扉である。
「はい」
 扉を開ける。するとそこには着飾った一人の女の人が立っていた。服装だけでなく雰囲気も立派であった。威厳と気品が立っているだけで感じられる。そんな人がそこにいた。
「あの」
 マーシャはその雰囲気に飲み込まれそうになりまがらもその人に声をかけた。
「何か御用ですか?」
「一つ聞きたいことがあるのだけれど」
 その人はマーシャを見下ろして尋ねてきた。
「はい、何か」
「あれを」
「はい」
 その人が声をかけると役人の人が後ろから何かを持って来た。マーシャ達が刺繍やアクセサリーを渡したあの役人の人である。とても偉い人だと思っていたのにこの人はその役人を平気な顔で使っていた。そのことからもこの人が普通の人ではないのがわかった。

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