―運命封印―
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るのはエドの番だった。正気を失ったような、と先に述べていたものの、エドが感じたその言葉は正しくない。
何故なら、黒崎遊矢は正気を失ってなどいないからだ。何者かに操られている訳でもなく、神のカードによる力に溺れた訳でもなく、覇王の後釜を狙うわけでもなく。ただ全員でアカデミアに帰るために、《邪心教典》による神のカード――『エクゾディオス』の完成を目論んでいた。
「それに、この《邪心教典》は完成目前だ。大量のデュエリストの魂は必要ない。必要なのは……」
かつて十代とのデュエルで《超融合》を生み出していた《邪心教典》だったが、その力はまだ失われてはいなかった。何故ならまだ、《邪心教典》は未完成――そのカードを構成する『疑い』の感情が、オブライエンとジムの計略によって足りないのである。
そして呼ばれたかのように、また一人の少年がその場に現れていた。……いや、その場に現れていた、というのは少し正しくない。彼はずっと、そこで覇王のことを見ていたのだから。
「……翔」
「そうだ、お前だ」
あとは『疑い』の感情を《邪心教典》に埋め込むだけ、それで神のカードは完全なる力を取り戻す。遊矢が翔に向けて歩き出そうとした瞬間、デュエルディスクを展開したエドが立ちはだかった。
「待てエド。弟のことなら俺が……」
「いいや、これは僕の役目だ。カイザー」
無論エドたちからしてみれば、遊矢のやろうとしていることは、ただ仲間を殺そうとしているに過ぎない。神のカードなどという、不確かなものに囚われて。
「…………」
「それに万が一があった時、僕のヒーローより君のドラゴンの方が逃げやすい。君はそこで弟を見ていろ」
そのエドたちの反応は見越していたのだろう、遊矢もエドに対してデュエルディスクを展開する。エドの言葉に納得したのか、エドが退かないことを悟ったのか、亮は翔を守るように少し下がる。
「……まあ、そんなことは万が一にもありえないがな」
後ろで待つカイザーにだけではなく、対戦相手である遊矢にも宣言するかのように。エドは闘志を内面に秘めながら、デュエルの準備を完了させる。
『デュエル!』
エドLP4000
遊矢LP4000
「僕の先攻!」
そうは言ったものの、エドは遊矢のことを過小評価しているわけでもなく、神のカードとやらを甘く見ている筈もない。カイザーが一度見たという情報が確かならば、今の遊矢は【機械戦士】ではなく、何故か《高等儀式術》をメインにした【儀式召喚】デッキを使っているそうだが。
「僕は《デステニー・ドロー》を発動! 手札のヒーローをセメタリーに捨て、さらに二枚ドローする」
ならば、その神のカードとやらが現れる前に決着をつけねばならない。先
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