閑話 第二話
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できてくれているお金を有り難く使わせてもらい、必要な物は粗方揃えたところで空を見上げると、日はまだ頂点に達しておらず、まだ時間に余裕がある。
「ウラノスに話を聞いてみようかな……」
彼は古代からこの下界に降り立った神々の一柱だ。人々に神の恩恵を齎した第一の神でもある。今では中立の立場を謳うギルドに君臨しているから、実質彼のファミリアは存在しないけど、神の恩恵について詳しいことに変わりない。
それに私が下界に下りてから一回しか彼とは会っていない。神会に出席しないから会う機会が結構少ないし、この際だから挨拶ついでに足を運んでみよう。
「ウラノス様は席を外しておられます」
「え、いないの?」
「はい、重要な案件ということらしいのですが……。伝言を預かりましょうか」
「あぁ、大丈夫。ありがとね」
通常の職員より遥かに品質の良いスーツを着込んでいる中年のエルフの男性は、後退している生え際から生える短い白髪を盛んに揺らしている。ロイマン・マルディールという、ウラノスの腹心として仕えているエルフだ。近いうちにギルドの最高権力者になると噂されている、エルフにしては中々太った男性。ウラノスから面会するときは彼に通すようにと言われて捕まえたのだが、まさかウラノスがあの間を留守にしているとは思わなかった。
失礼しますと断り大勢の部下を引き連れて消えていく丸い背中を見送り、さて困ったなぁとギルド本部のロビーを見回す。白大理石で造られたロビーは、メインストリートに面する大神殿のようで、外の通りと負けず劣らず冒険者で溢れかえっている。特に冒険者が群がっている巨大掲示板に私もふらりと足を向ける。
『あーこのクエいいな。もらってこ』
『おいおい聞いたかよ、今日階層主の次産間隔明けだってよ』
『どこのだよ』
『えーっと、七階層だな』
『何だ、別に気に留める必要ねぇじゃねぇか』
『まぁそれもそうだな』
ダンジョン探索がてら、都合の良い冒険者依頼があったらこなしてしまおうと、多くの冒険者たちは埋め尽くされるほどの羊皮紙が貼り出された掲示板の前に集まる。
私は冒険者じゃないから遠めに眺めるだけにしようかと思ったけど、無意識の内に流れる神威に気付いたのか、冒険者たちがざざっと私の正面を空けた。
「あー、ごめん」
クレアが時々冒険者依頼をクリアして報酬を貰っていると話していたのを聞いて、どんなのがあるのか気になっただけだったんだけど、せっかく譲ってもらえたのならさっと目を通していこう。
特定のモンスターのドロップアイテム納品、隊商の護衛……へぇ、結構多岐に渡るんだねぇ。でも上層に関するものが他と比べて少ない。まあそれもそうか、Lv
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