閑話 第二話
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から日が浅いため、下界に於ける神々の立ち位置やファミリアについて詳しく知らない。だから天界にいたときから親交のある神様たちにこうして話を聞きに行ったりしているのだ。それでセレーネ様の知り合いの中で最も古くから下界に下りてきた神様はゼウス様とヘラ様、ウラノス様あたりなんだけど、ヘラ様は他の女神のことを目の敵にしているし、ウラノス様は《祈祷の間》というギルド本部最深部で今もなお祈祷を捧げているから、残ったゼウス様に自然と白羽の矢が立つのだけど、これがまた陽気な神様だからアドバイスがアドバイスになってないのだ。今でもオラリオの最大派閥に名を連ねるゼウス様は他のファミリアと関わるのを避けていると一般に言われてるけど、実際はゼウス様の自由奔放すぎる態度に他の神様が呆れて関わらないようにしているだけである。例外なのがゼウス様にご執心のヘラ様と、その態度を気にしないセレーネ様くらいだ。
「偉業をなさなければならない、という意味ですよね」
「うーん、そういうことになっちゃうのかなぁ。でもそんなに焦る必要はないよ。クレアのステイタスも良い調子で上がってきてるし、半分くらいの人はLv.1より上がることが出来ないって言うし──」
「それじゃあダメなんです!」
思わず机を叩きそうになる。突然声を張り上げたせいで、セレーネ様がオリーブ色の瞳を大きく開いて言葉を止めた。
私もその事情は知っている。だけど、私はその半分くらいの人にはなりたくない。なってしまえば今の納得のいかない状態のままだ。そんなの、セレーネ様に顔向けできるはずがない。
少なからず気にしていた所だったから荒立ってしまった。ごめんなさい、と小さく謝りを入れたけど、微妙な沈黙が部屋を支配した。
少ししてからセレーネ様が小さく微笑みちゃぶ台を立った。
「ちょっと疲れてるんじゃないかな。明日くらいは休んだら? 三年ずっと無休は体に悪いし」
シャワー先に浴びてくるね、と銀の髪を翻して奥の部屋へ姿を隠した。再び耳に痛い沈黙が訪れる中、セレーネ様が作ってくれた料理は冷め切ってしまっていた。
◆
それとなく聞くつもりだったけど、結構気にしちゃってるみたいだね、クレア。私は隣で泥のように眠っているクレアの髪を撫でながら、こっそりため息をついた。
私はクレアが冒険者になることについて、少し抵抗を覚えていた。私がクレアのことを守り育てる親のはずが、クレアが私を守り支えている状態だ。親が身を粉にして子に尽くすはずなのに、子が親に尽くしている状態が嫌だったのだ。
でもクレアはそれが良いと望んでいる。それが私にとって最善のことで、喜んでくれることだと思っている。確かにクレアが目に見えて成長しているのが解るのは嬉しいことだし、クレアがそれを衷心から望んでいることなんだろう
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