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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
閑話 第二話
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族親類の一切を失った私の心を癒してくれる。

「いつもと変わりませんよー……」
「そうかな? 何か思いつめてるようにも見えるけど」

 私の正面に腰を下ろしたセレーネ様はニコニコと微笑みかけてくる。どういう理屈なのか解らないけど、神様という人(?)は相手が嘘を言っているとか、何か隠し事をしているな、というのを本能的に察知できてしまうらしい。勿論私はセレーネ様に嘘なんか吐けるはずがないので、自分でも気付いていない何かがあるのだろうか。
 「ゆっくりでいいよ」と言いながらフォークで料理を食べ始める。こんなに細い体してるのにどんだけ食べるんだってくらいセレーネ様はよく食べるので、全部とられないように私もフォークを動かしながら黙考する。
 数分くらい経ってからようやく何かを見つけた。

「あ……もしかして、七階層に行きたい……とか?」
「え? いや、私に言われても解らないけど、そうなの?」
「はい。少し前から七階層に関して思い悩んでいたことがありまして」

 ウォーシャドウに怯えていたころとは違い、今では自分でも中々思い切りが良くなってきたと思ってる。当然何振り構わず突撃! というわけじゃなくて、勝負に出れるところは出て、引っ込むべきところは引っ込むという見極めが出来るという話だ。その証拠に今では駆け出しのころとは判然としたステイタスの差がある。きっとその差こそ駆け出しのころから成長した分のはずだ。
 しかし、一年前からずっと六階層で留まってしまっているのだ。理由は七階層になるとモンスターが群れを組んで襲ってくる確率が上がるからだ。六階層まではモンスターの群れと言えど比較的少なく、多くても四匹くらいなのだが、七階層になると最低でも三匹が群れをなす。一回だけ七階層に足を伸ばしてみたけれど、いきなり五匹同時に遭遇したときは本気で死ぬかと思った。少ない数との戦闘はもう慣れたけど、四匹以上となると本格的に手詰まりになる。なぜなら練習をする機会があまりにも少ないからである。三年間潜り続けている私でさえも四匹の群れと遭遇したのは両手で数えられる程度しかない。
 かと言ってそんな少ない経験だけで乗り越えられるような問題でもないのも事実。加えて練習したければ実際に七階層に行かなくてはならない。本末転倒である。
 そのことを食べながら零すと、セレーネ様は「困ったなぁ」と口癖を挟みつつ、雑貨が広がる机の上でガサゴソと手を動かし、一枚の紙を引き抜いた。

「えーっとね、神の恩恵(ファルナ)が人の成長を認めるというのは、万人が認め、神々に称えられるような業績を上げること。とにかくダンジョンに潜り続けろダンジョン。だってさ」
「お、お言葉ですが、それは一体どなたから……?」
「ゼウスからだね」
「やっぱりですか……」

 セレーネ様は下界に降りて
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