第十五話
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ー》だったのだ。
まず、安全階層である十八階層に怪物の宴と遜色ないほど大群で押し寄せてきたこと。そして押し寄せてきたモンスターがそもそもこの階層にそぐわない力を持っていたこと。これが最大の問題だった。
実は、リヴィアの街に殺到している花は地上でも確認されている。怪物祭の騒動の裏側で【ロキ・ファミリア】が遭遇した新種モンスターなのだ。Lv.5のティオネ、ティオナ、アイズと強力無比な魔力を誇るレフィーヤの活躍により最小限の被害に抑えられたが、それは彼女らが最前線に立ち続けている一級の中の一級の実力者であったからであり、二十階層にも満たない階層を行き来できる程度の冒険者では荷が重い相手なのだ。
加え、湖畔の中心にある断崖に築かれているという立地条件が負の方面にはたらき、その湖畔を埋め尽くさんばかりに群がられては逃走するのもままならない。
地獄絵図と言わずして何と言おう。ただ、不幸中の幸い、リヴィアの街には【ロキ・ファミリア】の先鋭たちが居たお陰で、混乱のさなかでも何とか抵抗できていることだ。
しかし、翻ってレイナとナチュルの現状こそ、まさに地獄絵図だった。
十九階層に降りるための階段があるのは中央樹の根元。十八階層の中心に聳え立つ巨木の西のすぐが、今モンスターによって蹂躙されている湖畔なのだ。紺碧色の美しい色を湛えていたはずの湖畔は今では、毒々しい色へと変貌している。その脅威が目の前にある状態なのだ。
よって、十八階層に上ってきたレイナたちに、少なからぬ花たちが一斉に振り向いた。
「……まずい、逃げるわよ!!」
「はい!!」
ナチュルはもちろんのこと、前世で六十階層以降にも潜り続けていたレイナすらも初めてみるモンスターだった。ナチュルは中層の攻略推奨レベルをクリアしているものの夥しい数の初見モンスターと戦うことを恐れ、レイナは自分でも見たこと無いモンスターに言い様のない嫌な予感を感じ取り、弾かれたように十八階層の連絡路に向けて逃走を開始した。
十九階層に戻らないのは、二人で手一杯になるくらいのモンスターが跋扈している中を逃げれるか解らない上に、この花たちが階層を跨いでくる可能性も十分考えられること、そして何より逃げた先には安全地帯など存在しないからである。
十八階層ならば、十七階層の大広間にモンスターが再び屯している可能性はあるものの抜けきれる望みはあるし、もし花たちが追いかけ続けてきても階層で徘徊しているモンスターたちの処理は間に合うし、地上に帰還することが出来るからだ。
『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』
背中を突き刺すような咆哮とともに、花たちは湖畔の水を盛大にぶちまけながら逃走する二人を追いかけ始めた。
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