第十四話
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えている金属塊の前に跪き、表面を軽くなぞって物色してから再びピッケルを振るい始める。彼女が望み、臨み続ける薙刀に、一体何を求めているのだろうか。
魔剣のような絶大な力を秘めるものか? どんな物でもたちまち一刀両断してしまう業物か? それはナチュルしか解らない。
「沢山薙刀を打ってきた。将来もずっと薙刀を打ち続ける。その間に黄金比が見つかればいいんだけど……」
「見つけられるでしょうか……」
「れる、られる、じゃないわ。見つけるのよ。一心同体と言えるまで昇華された姿を、見つけるの」
このときばかりは、ナチュルが大雑把な性格の持ち主であることを忘れていた。子供のように頑固に自分の夢を持ち続け、夢を追求する姿はどこか神秘めいてすらいた。
ナチュルは堅牢な意思が篭った言葉を打ち切ると、思い出したように途端に耳まで真っ赤にさせて、茶髪の髪で顔を隠すように弄る。
「年甲斐も無く熱くなっちゃったわ。忘れて」
「良いじゃないですか。一つの夢を追い続けるのって、素敵ですよ」
「やめてよ、余計恥ずかしくなるわ」
いじける子供のように唇を尖らせながら返したナチュルは「でもまあ」と前置いてから言った。
「恥ずかしくて誰にも言えなかったことだから、聞いてもらえて嬉しかったわ」
そして紅潮した顔でにかっと笑った。きっとその笑顔は、夢を持ったころの幼いナチュルの笑顔なのだろう。だからこんなにも幼く無邪気に、顔中に土まみれになっても美しく笑えるのだろう。
一つの事に真摯に突き進んでいく姿は、無償に応援したくなる。
「私も手伝いますよ」
「レイナちゃん、採掘したことあるの?」
「……いえ、無いですけど」
「ふふ、良い機会だから教えてあげるわ」
二十階層に着いてから時間の経過を忘れるくらいナチュルと二人で採掘をして回った。当然私は鉱石を何度もぶち壊しましたけどねっ!
◆
レイナたちが採掘を終え、十九階層に戻り始めた頃、十八階層は。
夥しい数の食人花のモンスターが安全階層に群れをなして地獄絵図と化していた。
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