第十四話
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なので《戦える鍛冶師》とも呼ばれているわけだが、鍛冶師が世に武具を送り出すためには、当然ながら元となる素材が必要だ。それを調達するためには冒険者依頼クエストを発注したり、他のファミリアと連携する代わりの報酬として鉱石を回してもらったりと色々あるが、ナチュルの場合は自分で採りに行っていたらしい。
もちろんソロではなく同業者とパーティを組んで、ではあるけど、それでも薙刀を作る度に毎回潜っていたとなると驚くところがある。
彼女の話を聞いている限りだと鍛冶師になって二年のようで、一年は新米、一年は上級鍛冶師として過ごしており、二年通して生産した薙刀は百を越えるらしい。そんな頻度で打ち続けているということは、逆に返せばそれだけ素材を採りにダンジョンに潜っているわけで、彼女の手練さの一端を担っていたわけだ。
鍛冶師にしてはダンジョンに潜る経験を多く持つ彼女が色々検索している内に辿り着いた結論が、この二十階層とのこと。
嬉しいことにナチュルはかつて私が建てた冒険者指導施設にて交付されていた参考書─補佐科のものから冒険科まで全て─を持っているらしく、一階層から五十階層までの採取できる物資に関するデータを頭に叩き込んでいるらしい。
参考書を編んだ本人である私でも覚えていない採取ポイントなども全て覚えており、鉱山地帯である二十階層が自分の力量に最も適して能率的に採取できるポイントだったとのこと。
冒険者依頼を出せば、二十階層と同じ鉱山地帯になっている四十階層から取れる希少金属を回収できるのに、と思って質問してみると
「報酬が私の打った武具だってさ。私は薙刀しか打つ気がないから、出したくないのよね」
大雑把な性格だけどしっかりと職人気質を持っているようで、自分が専売としている薙刀以外打ちたくないそうだ。それでも時々他の武器を打ってみることで新しい発想を得られるかも、ということで粗方の武器や防具を打ってみたことがあるらしく、結局目ぼしい手がかりを得られず使った素材の元手を取るために店に出品、その作品が冒険者に物凄い人気を得たようで更に不満に思っているようだ。
「薙刀を作る私を誰も知らないくせに、そこらの剣とか盾になるとすぐ私の名前を出してくるのよ。考えられる? 何の思い入れもない武具を評価される身にもなって欲しいわ」
とぼやきながら壁面から覗くエメラルドの鉱石を慣れた手つきでピッケルを振るって採るナチュル。
「なんでそんなに薙刀が好きなんですか?」
「好きだからよ。全部が」
「全部、ですか」
「そう。薙刀は私に夢をくれるの。使い手の半身となって、どんな窮地に追い込まれても傍にあり続けて力を与える。そんな薙刀を作りたい」
ぽろっと零れてきた鉱石をバックパックに放り込んで、次は床から生
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