第十三話
[7/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
るようになる。ヘルハウンドも例に漏れず思考を持つモンスターで、解りやすい動作だと簡単に行動を先読みして反撃してくる。
力や俊敏で完全に負けている私はヘルハウンドに誤読させて対処した訳だ。誤読誘発は私が格上と戦う際に必須技術だと思ったからめちゃくちゃ練習した技術だ。冒険者指導施設で配った参考書の立ち回り方の欄に要注意と記載したほどだ。
これがあるかないかだけで生命線に関わるのだから、重要に決まっている。
「へぇ、さすがトロールをあしらっただけあるわね。レベルの違いを物ともしない」
「一撃貰ったときが怖いですけどね」
「そうさせないために私がいるのよ」
Lv.3のナチュルは私が突進する横をあっさり追い抜いて上段から刀身を叩きつけるように振り下ろし、一刀両断。脳天から背中にかけてバックリ割れている。見えるヘルハウンドの真っ赤な体内に一際目立つ輝きを発する魔石もバックリ割れており、ナチュルらしい大雑把な始末であった。
「鉱石を入れる余地も考えるとまだ魔石は拾わなくて良さそうね。……と、次の来客ね」
魔石が数個しか入っていないバックパックの中を覗いたナチュルが長い耳をぴくっと動かした。
視線の先にはぴょこぴょこ跳ねてやってくるベル君……もとい白い兎が三匹。《アルミラージ》と呼ばれる一角兎だ。その手には天然武器の石斧が握られていた。これも中層ならではの光景で、モンスターたちは得た思考によって地形から武器を作り出すことがある。その武器を作り出すための元になる物質や地域のことを迷宮の武器庫なんて呼ぶ。
「さてどうする? 集団戦は厄介として知られてる子兎ちゃんだけど」
「二体お願いできますか?」
「オーケーよ」
気軽に返したナチュルは突風の如く駆け出し、固まっていた三体の内一匹を除外して通路の奥に押しやった。
今更だけど、ナチュルが大雑把な性格でよかった。普通の冒険者が私の事情を知った上でこの光景を見たら確実に疑いをかけるからね。公に無所属とされている私が中層に潜ってるなんて考えられない事態だし、さっきの戦い方だって自分で言うのもアレだけど駆け出しがすぐ出来るような技術じゃないと思ってる。そういう意味ではナチュルに感謝だ。
石斧片手にくりっとした目で私を見つめてくるアルミラージにニコッと笑いかけて接近、薙刀を振るう。呆気なく避けた兎は小さな体をめいっぱいに使って振り切った私の脇目掛けて斧を振る。
その直前に一周してきた柄尻がアルミラージの可愛らしい顔を不細工に歪める。
『ぷぎゅっ』
くぐもった悲鳴を上げて通路の壁面に叩きつけられたアルミラージに、無慈悲な一刀を振り下ろす。上半身と下半身をすっぱり断ち切られたアルミラージは間
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ