第十三話
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となると、もはや常識欠落を疑うだろう。更にエイナの信条『冒険者は冒険するな』が助長させて、ナチュルが即断即決で発注した冒険者依頼の撤回かハードルを下げることを訴えたけど、ナチュルは『トロールを倒せるんだったら余裕でしょ』と却下。
それでも食い下がったエイナがあれこれと提案したけどやはり却下、Lv.3の元冒険者であるナチュルが同伴するということでエイナが折れた。元々ナチュルは同行するつもりだったらしいし、『これ以上文句を付けるならこの話は無し』と脅し文句を添えてこられたらなす術はない。
そんな訳でバベルで翌日の午前七時に集合した私たちは、ダンジョンに潜る前に装備の装着やアイテムの確認をする準備室にいた。
「新米の時に作った薙刀、これくらいしかなくて。好きなの選んでいいわよ」
と言いながらずらりと十本ほど薙刀を並べてくるナチュルさんマジで怖いです。それに一本一本確認してみればそこらの店で並んでる刀剣とは比較にならないほどの物ばかりで、眉尖刀や偃月刀といった昔の薙刀のデザインやそれに準ずる武器すら網羅しているのだから、ナチュルの薙刀に対する愛が窺える。
クレア時代で懇意にしていた刀匠に無理言って作ってもらっていたけど、やはり薙刀を専門にしている鍛冶師だと一味違うね。作ってもらっては微調整してもらってたけど、ナチュルの薙刀は実践に適するように工夫が凝らされていて非らしい非が見つからない。
もちろん新米のときに作った物らしいから、例の薙刀─銘を無狩という─より大幅に見劣りのある性能だけど、駆け出しの私に見合った性能だから嬉しい。ここで月狩のような一級品を渡されたら凄い困ってた。
十本の薙刀をそれぞれ一回ずつ試しに振ってみて、一番手に馴染んだ一本─銘は無いらしい─を選んだ。
「これって小型モンスターを想定してたりしますか?」
「そうよ。でも新米の頃に作ったから構造が曖昧でしょ?」
「そうですね……柄を長くして一掃するという発想だと思うのですが、どちらかと言えば取り回しをメインにした方が使い手としては嬉しいですよね」
「あはは、昔の作品を見ると何だか恥ずかしいわね〜。時々原点を見返したりして発想を得たりするから助かってるんだけど」
気恥ずかしそうに笑いながら自身も己の作品を片手に語る。彼女の手に握られているのはLv.3の冒険者に相応しい性能を宿す薙刀だ。こちらは中型モンスターを仮想敵にしているようで、柄も刃も中ほどに留められている。着流しという極東風の装備が相まって、彼女がエルフであることを忘れてしまいそうである。確か楚々とした女性を極東では『やまとなでしこ』と言うんだっけ。まあ実態は即断即決という、言い方を変えれば落ち着きがない人なんだけど。
「ん、そうそう、サラマンダ
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