第十三話
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あった。
薙刀というのはただの武器の一端に過ぎないのだから、当然魔剣のような絶大な力を秘めているわけでもないし、ダンジョンに挑むときはパーティを組むのが普通なのだから「振り回す薙刀」が人気を得るはずがなく、薙刀を扱う武具店自体が稀という状況だった。
そんな状況だから質の良い薙刀が置いてあるはずもなく、しぶしぶ納得いかない薙刀片手に冒険者を続けて早くも九年近く過ぎようとしたとき、ナチュルが思い付いたことが「なら自分で薙刀を作ればいいか」であった。
当時所属していたファミリアを脱退し、すぐに鍛冶業界最強と名高い【ヘファイストス・ファミリア】に入団、そこで彼女の才能を開花させることとなる。
僅か一年足らずでヘファイストスのロゴを刻むことを許され、冒険者の間でもちらほら名前が挙がるほど優秀な鍛冶師として成長したのだ。
だが、彼女は納得しなかった。彼女の腕を評価された切欠は薙刀ではなく、気分転換に作った何の思い入れもない武具だったのだ。ナチュルが試行錯誤しながら生み出した薙刀たちは冒険者たちに目を向けられることはなく、極東から発注されるくらいしか需要が無かった。
彼女は考えた。どうすれば薙刀の魅力を理解してもらえるのだろうかと。現在の冒険者たちの考えを汲み取り、自身が冒険者だったころの経験を元に様々な薙刀を提示してきた。それでも見向きはされなかった。
同僚の者やヘファイストスにも薙刀はパーティに向かない構造なのだから受け入れられるのは厳しい、せっかくの才能が潰れていると忠告された。それでもナチュルは薙刀を打ち続けた。
そして一年が経ち、ついに彼女に天啓の導きが訪れた。
先日開催された怪物祭で、調教する予定だったモンスターが【ガネーシャ・ファミリア】の管理の甘さが原因で都市に排出してしまうという事件が発生した。元々モンスターの地上への侵出することを防ぐことが目的であるはずの冒険者にあるまじき事態にナチュルは呆れながらも、事件当日は自分の工房に篭って武器を打っていたのだが、その日の夜にそれが訪れたのだ。
『東メインストリート支店に置かれていた貴女の作品が例の事件時に無断で使用された。』
東メインストリート、というよりかオラリオ各地にある支店に自分が送っている武器は薙刀しかない。防具も送っているが、話を聞く限り自分の薙刀を使ったのは確定らしい。
しかも東メインストリート支店に置かれていた自分の作品の位置は、店に入って一番奥のブースだ。モンスターに追いかけられてて慌てて飛び込んだということなので、その薙刀を手に取るというのは欲していない限り不自然だ。
加えて店のお触書に反したという冒険者は駆け出しの少女だったとい
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