第十話
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ていくことになる。
さすがにこの仮説は間違っているのは解るのだが、そうなるとヘスティアにとってますますレイナの存在が厄介なものとなる。主に、ベルの視線を横取りする嫉妬の対象として。
スキル名に一途と書いてあるくせに、まさかの二股を掛けてもスキルがストップするどころかアクセルを踏み込んだ事態にヘスティアは軽く頬を引き攣らせる。もともとベルがレイナに対して懸想の類を抱いていなければ問題は無かったのだが、今までの伸びしろと比べて更に二倍近くまで成長スピードが高まったとなれば警戒するに越したことは無い。
ヘスティアはその幼い容姿に相応しい─神様として全く相応しくない─嫉妬の感情に苛まれながらも、ベルに今回のステイタス更新の結果を告げるのだった。
◆
「へっくしっ!」
風邪は引いてないはずなんだけどなぁ……。さっきから二回くらいくしゃみが出てくる。誰かに噂されているのかもしれない。フレイヤ様じゃないように……。
宛の無い妄想を頭に過ぎらせながら、私は疲れが抜けきっていない体を伸ばす。眠気が脳の中で跋扈するせいでもう一度寝ちゃおうかとも思ったけど、昨日の猛練習のお陰でステイタスの伸びがかなり芳しい。この調子で続けていれば一週間かそこらで基本アビリティのいくつかをHの後半まで持って行けそうだ。
普通の駆け出し冒険者は初めて対峙するモンスターに萎縮して思ったように動けないせいで、一日で得られる経験値の絶対値が少ない。それに初めて武器を握るだろうし、死ぬかもしれないという緊張が高い時期でもある。だから大概の駆け出しは半年くらいの時間を掛けてゆっくり冒険者の雰囲気に慣れていく。
でもアイズには驚かされたね。彼女、なんと八歳のときに冒険者になって、その一年後にLv.2に昇格したそうだ。それをロキ様から聞いたときさすがに凹みました。十三歳というアイズより年上の状態でスタートした私は三年後に昇格ですからね。天才というのは彼女のことを言うのだと畏敬の念を寄せました。
もちろんそれが才能だけによるものじゃなく、アイズが幼いながらもほぼ毎日ダンジョンに通いつめてはヘトヘトになって帰ってくる毎日を続けていたからだと思ってる。彼女の努力の賜物と言ってもいい。最年少で最速記録を叩き出した少女は一味違ったのである。
そんな訳で私はレベルが上がる見込みは無いなら基本アビリティの多寡で勝負! って張り切っているものの、正直言って辛い! 辛すぎですよ! だって今日潜ったとき偶々再会したベル君がめっちゃ強くなってますもん! 一体どういうことだって話ですよ!
あれは人が変わったと言えるね。レベルが上がったという話はしてこなかったから、多分純粋に基本アビリティの上昇で得た成長だったんだろうけど、それにしても限度ってものがです
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