第九話
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かりに両手をじたばたさせる。でもキミにはまだまだ仕事をして貰うぞ。
突撃騎槍のように先端にリザードマンを突き刺したまま、丁度今槍を拾ったところのリザードマンに向かって突進する。
すると拾ったリザードマンは「!?」と自らの仲間が背を向けながら迫ってくる光景に驚き硬直、そのまま呆気なく巻き込まれて壁に叩きつけられる。一方刺されているリザードマンは後ろから衝撃が加わったせいで更に深く食い込み、一層痛ましい悲鳴を上げる。
ん? 穂先の先端に硬い感触があったな。これ魔石か。えいっ。
壁に背を叩きつけられた串刺しリザードマンは私の体重が勢いと共に加わったために、とうとう己の核に穂先が到達、圧壊を許してしまう。
『グギギギ───!?』
己の体が崩壊していくのを実感しリザードマンは悲鳴を迸らせたけど、その途中で無情にも灰へと還った。がらんがらんと音を立てて盾とククリ刀が床に落ち、その黒々とした塵の山に散りばめられる魔石の欠片たちがリザードマンの死を如実に物語っていた。
『ギィギィ!!』
仲間をやられた怒りに威嚇するような素振りを見せる二匹に、私は血が付いた穂先を突きつける。
さぁて、まだまだ私の練習に付き合ってもうよ!
◆
ふぅ、ダンジョンの中は時間を示すものがろくに無いからね、一体何時間くらい十三階層に留まっていたか解らないけど、百体を軽く超えるリザードマンとその他違う種類のモンスターを礎にして、ようやく一回だけ【撥水】を成功させた。それも半分が欠けた魔石だった上に地面に落ちたら粉々になる有様だけど。
途中から普通に倒したモンスターから出てくる魔石とドロップアイテムを回収するのが面倒くさくなって部屋の隅っこに寄せておいたら、ひょっとしたガラクタ山が出来てて他人事ながらにびっくりした。これを一個一個数えていけばより正確な撃破数が解るけど、途中から眠くなりそうだからやめとく。せっせとバッグに放り込んでも、半分以上も入りきらない量だから、その時点でお察しである。やむを得まい、この魔石郡は早い者勝ちということで捨て置く。
「うげぇ、おっもい……」
今回篭った分私の体、正確には神の恩恵に集計された経験値がたんまり貯まっているだろうけど、それは更新されなければ効果をなさない。かなりの数を相手にしたし、それなりに力技も使ったし、Lv.2を相手取ってたから力の伸びは期待できそうだけど、さすがにここで【愛情の証】を使う勇気は無かった。
よって、大の大人とさして変わらない力しかない─十三歳の華奢な女の子にしては異常な力だけど─から、ぱんぱんに膨れ上がったバッグは途轍もなく重い。一歩二歩と踏み出すだけでため息が出そうだ。
これ、無事に帰還できるかな……。
一回遭遇す
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