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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
第九話
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に入った者を遠心力で上乗せした一撃で薙ぎ払い、敵の剣を寄せ付けない。これが槍の真髄だ。尤も私は立派な槍術なんて体得してないから下手なりは下手なりの槍捌きしか心得ていない。そのせいで何万回間合いに踏み込まれて呆気なくぶっ飛ばされたことやら……。
 緊張感とともに蘇ってくる苦々しい思い出を払拭し、三方向それぞれに鏃を突きつけ牽制する。

 遭遇してから五秒後、緊張に耐え切れなくなったリザードマンが飛び出した。片手に握るのは片手直剣。粗雑な印象を受けるそれは剣と言うより金属塊をそれらしい形にしただけ、という感じだ。立派な鈍器になるから軽視できないけど。
 蜥蜴(とかげ)らしいほっそい両足をペタペタ忙しなく動かし、その細腕から到底想像できない速度で剣が振られる。
 
 私は余裕を持ってそれを穂先で受け止め、くるりと手首を捻転させて剣先を表から弾き、がら空きになった薄い鱗が貼られている胸板に目掛けて踏み込みと共にスラスト。
 ガィン、と思ったとおりの手ごたえが返ってきて穂先が僅かな斬り込みを付けただけに終わり、脇へと逸れる。
 突かれたリザードマンは私の【剛術】と【対大型モンスター】によって実際の八倍のインパクトをその胸に叩きつけられ数歩後ろに後退、それを契機に残りの二対がそれぞれ飛び掛ってきた。

 左から飛び掛ってくるのは盾を持ったククリ刀、真後ろからはまっすぐ穂先を突き出して突撃するランサー。ひとまずククリ刀なんて変則的な攻撃軌道を持つ左のリザードマンは無視して、私の背を取って「隙あり!」と言わんばかりに両足を動かすランサーを相手取るか。
 コンマ数秒で行動を判断した私はやや右後ろに体が入れ替わるように反転、右脇すぐの虚空を穿った穂先の付け根を迷わず左手で鷲掴む。

『!?』

 同じ槍を持っていながらまさかの素手によるアクションを起こすとは思っていなかったランサーリザードマンは、黄色い目玉をめいっぱいに広げて槍を握る手に力を込める。

 残念。力を込めれば込めるほど私は楽になるんだよね。

 リザードマンが両手を引くという回避行動を取る前に左手は掴んだまま、今度は左足で槍の長柄中心を蹴りつける。再び【剛術】が発動したため衝撃が二倍に膨れ上がり、私が握る支点を中心にぐるんと振り回される。振り回される戦闘にいるリザードマンは両腕に力を回しているせいでろくに踏ん張れず、あっさり体を浮かしながらも槍だけはしっかり握っている。

 そのまま握っててねぇ〜? そぉれっ!

 後は遠心力を使って振り回す速度を更に加速、そのままククリ刀を持ったリザードマンの横っ腹にリザードマンを叩きつける。

『フゲェエ!?』

 奇妙な断絶魔を上げた二匹は仲良く地面に倒れ込み、私は二本の槍を両手に持ち体勢を整えつつあったソルジャーリザ
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