第八話
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イズのバックパック買わなきゃか。
どこに行けば売ってるんだろ、と思ったときだ。
(この視線……)
ピンポイントで背中に突き刺さった視線。普通の人間ならこれほど解りやすい視線は出せない。当たり前だ、こんな物理的な何かを伴った視線が皆が皆出せたら気が気じゃないよ。
リリじゃない。彼女はこれほど無機質な視線を向けてこなかった。アイズでもないな。そもそもアイズの姿が見えないところまで足を進めている。
無機質で、見定めるようで、どこか敵対心すら見せるこの視線。概念的な存在である視線にここまでの情報を乗せられる神を、私は一人くらいしか知らない。
「フレイヤ様……」
美に魅入られた神様。あの神様とは前世、それなりに関わったからなぁ……。何か底知れない何かがありそうで怖かったのを覚えている。
感じる視線をなぞって振り返れば、白亜の塔の天辺あたりから降り注いでいるのが解る。まさかピンポイントで私を見抜いたとか……無いよね?
◆
「この色……」
レイナが視線に気づいた同時刻、その視線を送りつけていた神も呟きを漏らした。
フレイヤ。美という概念を宿す神。彼女の体、匂い、所作、視線、何をとっても魅了されずにはいられないプロポーションを持つ、美と愛を司る女神。
そして、フレイヤの呟きに、入り口である扉の横に静かに佇む巨体の従者が僅かに耳を動かした。猪人である彼の体からも逞しい限りの筋肉と威圧感が放たれている。
フレイヤは己の従者が僅かに動いたのを知っていながらも無視し己の思考に没頭する。
フレイヤには先天的能力がある。それは対象の魂の本質を見ることができるというものだ。相手の体を見て焦点を合わせるだけで、その者の魂の色を識別することができる。この場合の色というのは、その者が持つ素質や思考などを抽象的に再現したもので、およそフレイヤしか感じ取ることの出来ないものだ。
そして、たった今フレイヤが読み取った魂、それがレイナ・シュワルツのものだ。
本当に偶然白髪の少年という格好の玩具を見つけた直後だったフレイヤは、もしかすると自分が注意していなかっただけで、他にも自分の好みの玩具が隠れているかもしれないと思い、夜のオラリオをバベル頂上から見下ろしていたところ見つけたのだ。
それは、ある意味フレイヤにとって好都合で、ある意味フレイヤにとって不都合なものだった。
綺麗な白、力強い瞬き、朽ちることを知らない光。随分前に何度も見たことのある独特の色。
忘れもしない。あれほど残念に思ったことは無かっ
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