第七話
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まだまだ未熟だから弱いモンスターにしか使えない技です。私のランクより上のランクに位置するモンスター相手だとかなり苦しい。武器さえ揃えられれば、というのはさすがに言い訳だね。モンスターの体表から食い込ませることが出来れば、理論上全モンスターを一撃で倒せるはずだから、例え武器の質が悪くとも食い込ませられる技術があればどのモンスターにも【撥水】を仕掛けられる。これは猛練習するしかないね。
で、出会うモンスターを片っ端から引っこ抜いていって、いつになったらリリがギブアップするのかを図ってみた。リリは愉快犯なんかじゃなく、きちんとした心を持っていた。いい加減な気構えを持っていたら、私が多対一のときに配慮しているのに気づけないだろうし、私の邪魔にならないようにしっかり立ち位置を確保していたし、彼女のサポーターとしての腕は中々のものだ。
サポーターという役目の向かい風の強さは多少なり理解している。クレアの駆け出し時代からすでにサポーターは存在していて、当時と今のサポーター事情は大差無かった。強いて悪化したところと言えば、リリのような幼い女の子が務めていたことか。
そんなわけで、彼女は彼女なりに努力をしてサポーターとしての腕を持っているようだったから、少なからず良心を捨てていないことは解っていたため、後はいつ私の進行を呼び止めるかに掛かっていたけど、中層に踏み込む直前でリリがギブアップした。
さすがに私もLv.1の状態で十三階層に突入しようとは思っていなかったし、きちんと私の命を配慮した提案をしてくれて安心した。もし十三階層の床を踏むことになっていたら、良心を捨てていないと思ったのは気のせいかと判断してギルドに突き出すところだった。
結局彼女に今日中に稼いだ利益の七割を渡して、彼女の良心に重圧を掛けることで反省するようにと釘を刺して解散した。
とは言え、それだけで足をすぐに洗えるかと言えば、そうではないだろう。人は簡単には変われない。変わるためには努力を積まなければならない。人は楽な方に逃げようとするから努力をなるべく避けたがる。私の場合は努力の先に喜びがあったから苦痛は感じなかったけど、そこはリリの考え方次第だ。私としては二度と犯罪じみたことをしないで欲しいものだ。
◆
バベルを出て空を見上げてみれば、もうすっかり空は暗くなっていた。仕事を終えた労働者たちが、ダンジョンから無事に戻ってきた冒険者たちが今日も一日の締めくくりだと酒盛りに耽る。
人の往来が耐えないメインストリートに軒を連ねる酒場が開放した窓から漏れ出るオレンジ色の灯りと一緒に、いくつもの景気の良い大声が溢れ出てくる。
今日は新しい特技を未完成ながらも形に出来た日だ。少し奮発しちゃおうかな。稼ぎの半分以上はリリにあげちゃったけど、ちゃんと手
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