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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
第六話
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の前に現れたとき、リリは堪らず叫びました。

「これ以上はっ! これ以上は、危険です! さすがのレイナ様でも、レベルの差を覆すのは困難です、リリは、引き返すことを提案します……!」

 レイナ様が何の気兼ねもなく階段に足を乗せたのを見て、リリは突き動かされました。このまま黙ってレイナ様の後ろをついていけば、あわよくばレイナ様をモンスターたちの餌食にさせて、リリだけ逃げれば地上に帰ったときのリスクは無くなるというのに、リリはレイナ様を止めました。

 レイナ様に媚を売るとか、そんな邪な思考は一切無かった、純粋なレイナ様の身を案じての提案でした。

 リリの叫びを聞いた途端、歩を進めていた足はぴたりと止まり、ゆっくりと私に振り向きました。自分がしたことにリリ自身が一番驚いて自然と呼吸が荒くなる中、ずっと戦い続けていたはずのレイナ様は息を乱すことなく、リリに向けて微笑みました。

「ありがとうございます。リリの言うとおり、引き返すとしましょう」

 にっこり笑ってリリの頭にぽんと置いた手は、リリの大嫌いな冒険者の手なのに、不思議と嫌悪感は沸きませんでした。むしろ、その手に心地よいぬくもりすら感じてしまいました。
 レイナ様の笑顔は、太陽のように寛容で、温かく感じられました。少女に似つかわしくない、非常に大人びえた笑顔でした。まるで、先生のような、親のような笑顔でした。



 帰りも何の苦も無くモンスターたちを退けたレイナ様に連れられ、バベルにある魔石の換金所に向かいました。ダンジョンのすぐ近くにあることから混雑していましたが、レイナ様は文句一つ言わずに大人しく列に並んで待っていました。このバベル以外にある換金所はギルド本部か、ダンジョン内の十八階層にある街くらいしかありません。
 
 もしかしたらレイナ様は、リリのことを配慮してバベルの換金所に寄ったのかもしれません。リリを許すということを伝えるために。

 しばらくしてレイナ様の番となり、パンパンに膨れ上がったバックパックをカウンターに乗せたときの鑑定士は驚きのあまり目を見開いて固まっていました。ぱっと見駆け出しの装備を付けているレイナ様がこれほどの量の魔石を取って来たことが信じられなかったのでしょう。
 バックパックの中身を見てから再度驚きを示しました。極些細な欠けた跡が見られるにせよ、駆け出しの冒険者が摘出したとは思えないほど綺麗な魔石を片手に鑑定士はしきりに大したもんだと呟いてました。
 
 量はあれど、元々上層のモンスターから取れる魔石の大きさは大したことはありません。ですが高品質なのが幸いしてか、駆け出しがたった一回ダンジョンに潜った際の儲けなんか比較にならないほどの現金を片手に帰ってきました。

 レイナ様の姿を見て驚きのざわめきを見せる周りの冒
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