第六話
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わない者もいるだろう。
そんな人たちがそれでもと縋り付くのが、サポーターという役割だったのだ。
激しい競争に競り負けた敗者に慈悲はない。実力が物を言う冒険者の業界では下敷きになる運命になる。サポーターとはつまり、落ち零れが就く仕事とも言えるのだ。
ゆえに、下敷きにされる者に痛痒など覚えないし、むしろ鬱憤のはけ口とされる有様なのだ。中にはモンスターの囮に丁度良いとさえ思う輩もいるのだ。
サポーターになるのにいかほどの事情があろうが、冒険者たちの知ったことではない。サポーターの心情を理解する余地はない。
◆
これだから冒険者は。
いつからか、それがリリルカ・アーデの口癖になっていた。
彼女は小人族(パルゥム)の少女で、【ソーマ・ファミリア】に所属している。
複雑な事情を抱える彼女の生業は冒険者ではなく、サポーター。ファミリアの主神の意向で本来ならば冒険者になりたいところだが、生憎彼女にはその才がなく、また精進する努力をする余地が許されていない状況下のためサポーターに就いている。
そんな彼女は今、オラリオの東メインストリートに繋がっている路地裏を練り歩いていた。
その理由は近々【ガネーシャ・ファミリア】が主催の毎年開催されるお祭り怪物祭にある。
オラリオ最大の闘技場を一日中まるまる占領して、ダンジョンから引っ張り出してきたモンスターを民衆の前で調教するという催しで、一般的な見解では恐ろしい暴虐なモンスターを華麗にあしらう姿に憧れを抱き冒険者たちの実力に興奮を覚えさせられるものだが、穿った見方をすると気性の荒い冒険者たちのマナーの悪さに不満を募らせる一般市民たちのガス抜きの場とも捉えられる。
ダンジョンから効率良く魔石を回収してより多くの利益を貪りたいギルドとしては、冒険者という存在を一般市民たちに受け入れてもらいたいわけで、ダンジョンから這い上がってくるモンスターを押さえているヒーローの様に見える祭りを開くことで心象緩和を狙っているのだ。
とまあ、そんな裏事情はリリルカの知ったことではない。大事なのは、一般市民たちがこぞって集まる機会を逃さないことにある。サポーターたる彼女がなぜこの機を付け狙うのか、それは即ちスリだ。
【ソーマ・ファミリア】の主神ことソーマは偏屈者の集まりである神の中でも特に異彩を放つ神で、ソーマの唯一の生きがいである酒の製作を目的として作られたファミリアだ。その趣味の性質上どうしても資金が必要であり、その資金の調達をファミリアのメンバーのノルマとして命じている。
その一定のノルマをクリアできなければメンバーとして最悪の苦痛を与えられることになり、ゆえにメンバーたちは是が非で
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