第六話
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サポーター。ダンジョンの探索時に於ける非戦闘員であり、主に魔石やドロップアイテムといった戦利品を回収し、地上に無事に運び出すのが役目である。また前線でモンスターたちと戦うパーティに負担を掛けないようバックアップの全般を請け負う裏方役でもある。大規模なファミリアのパーティに呼ばれるサポーターになると、遠征時に拠点製作の仕事をしたり必要物資の調達など幅広い役目を担うこともある。
文字列だけ見ればパーティの負担を一手に担う重要な役目だと映るが、実際のところその見解は全く違う。
一言で言えば、荷物持ち。これが、一般に冒険者たちがサポーターに寄せる見解だ。
わざわざ嘲笑を誘うような呼称を付けているだけで、現在のサポーターたちの扱い様を垣間見ることが出来よう。
日々ダンジョンに潜りモンスターたちと死闘を繰り広げなければならない職業柄、冒険者たちの大半の気性は荒く、自己中心的で、残忍な思考を持つ傾向が見られる。
ゆえに多くの冒険者たちは雑用たるサポーターの扱いが非常に乱雑で、もはや奴隷と対話しているかのような罵声と不満の数々を浴びせる。
ここで改めて是正させてもらうと、サポーターというのは本来の意味で解釈すれば、冒険者の生命線を握るほど重要なポジションである。
多くの冒険者がダンジョンに潜る主な理由は魔石を換金して富を得ることだ。それに強大なモンスターを討伐してみせれば名声すら手中に収められる。
即ち、ダンジョンに潜って得た富の原石たる魔石を余すことなく回収するのもサポーターであり、モンスターを討伐した冒険者の噂を吹聴するのもサポーター。
冒険者だけならば装備品や物資の数々に荷物を圧迫されて魔石を回収する余地が無くなるし、討伐した本人たちが大々的に宣言するのではなく他人から聞いた活躍の方が余程信憑性がある。
だから、サポーターが蔑ろに扱われるのは元来間違っていることで、むしろ冒険者たちは感謝の念を寄せなければ割に合っていない。
では、なぜサポーターが見下されるのか。それは、サポーターになる人のほとんどが冒険者のなりそこない、つまるところ負け犬だからだ。
考えても見て欲しい。サポーターは確かに重要な役割を担っているだろうが、果たして一体誰がこれほど地味な役割を望むだろうか。富や名声を得るためにダンジョンに潜っているはずなのに、どうして日を見ることが難しい影の役割を担わなければならないのだろうか。当然だが、誰もサポーターに魅力を感じるわけが無い。名声を求める人ならば輪にかけて避けるだろう。
しかし、冒険者というのは成功だけではない。むしろ失敗の方が多い。その中にはダンジョンに夢を見ても、自分には向いていないものだったから伸び悩む者もいるだろうし、はたまたモンスターに恐ろしい思いをさせられて対峙することが叶
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