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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
第五話
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 脊髄反射で彼の拘束を解いて回避しておいて良かった。からくりは【水連】の応用バージョンというか、基本というか、まあそんなところだ。体内に衝撃という力の奔流を循環させる、なんて体術を覚えて以来から力の大きさと向きに関して結構敏感になってるからなぁ。
 拳を避けれたのはほとんど偶然です。前世の私が磨き上げていた反射神経がレイナの体にも適応されているのか解らないけど、なんとなくで首を動かしたら避けれてた。
 
 でもすっかり忘れてたな……冒険者の間に上下関係があるの。いや、正しくは覚えてたんだけど、またもや前世と同じように対応してたってとこだね。
 クレアの駆け出し時代は師事を仰げる人もいなかったからひたすらソロで挑み続けてきたし、レベルが上がる途上でもソロだったし、Lv.10になってもソロだったから、ずっとボッチを貫いていた。別に他の冒険者と絡む必要も無かったから意識が薄れてた。
 もちろんダンジョンの行き来とか装備を揃えるときとかランクアップの報告が貼り出されたときは声を掛けられたりするけど、そのほとんどが私と同じくらいの人たちだったからね……。あとは交友のあった冒険者たちくらいだ。ランクアップの頻度も平均以下だから妬まれることもないし、全冒険者で一番高いレベルになってもいつも通りの態度だったからとことん上下関係の対象外の立ち位置にいたのよ……さっきの人には悪いことしちゃったな。いつかまた会えた時にちゃんと謝罪入れよう。

 ん、そうそう、上下関係の意識が蘇ったところで、私の口調をどうするかを考えてる最中。
 私が駆け出しから生きる伝説なんて大仰に言われ始めた頃までずっとこの口調で接してきたから─ただしセレーネ様とは最後までですます調が離れなかった─口調変更にかなり苦労しそう……。

 前世の場合だったら完全な初期ステイタスだから、逆に隠し事をする意味がなかったゆえに堂々としていられたけど、今の私は存在するだけで危ない状態だ。正体がバレた暁に『あのクレアが蘇った!』とか騒がれたら、今後の私の動きに支障が生じる。
 なぜなら、セレーネ様を陥れた神様に知られてしまえば、レイナの私でも警戒を最高レベルに整えて、私が摘発するチャンスは悉く失うはめになる。
 バレたけど信用されたというならまだ望みはあるだろうけど、正直そんな賭博をする勇気はない。今の私のステイタスに【転生】の代わりに【愛情の証】が入っているため、私が転生してきたという証拠は存在しない。信頼を得るのは絶望的だ。証拠は無きにしもあらず、だけど、ばれないことが最適解のはずだ。

 そんなわけでなるべく目立たないように気を配りつつ、かつランクアップもしていって……という流れが一番理想的かな。時間かかっても【不朽の心】で私の絶頂は常に保たれるから然したる問題にはならない。

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