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鬼の顔
3部分:第三章
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第三章

「それでその気配はどうなったんだ」
「消えやした」
「消えたか」
「あのですね、庭の端でがさっという音がしたんでやすがね」
「猫じゃねえのか?」
 やくざ者の一人がそれを聞いて述べた。
「そりゃ。庭の端ががさっとか」
「ああ」
「そりゃ猫だな」
 こう言うのだった。
「この辺りは猫飼ってる家も多いし野良猫なんて何処にでもいるだろ」
「まあそうですね」
「それだよ。何だ、大したことはねえや」 
 そしてこう言い切ってしまうのだった。
「猫ならな」
「そうだな。まあよくあることだ」
「後で干し魚の残りでも出しておくか?」
 一人がふと仏心を出した。
「それならな。残ったらだけれどな」
「おお、それはいいな」
 親分がその仏心に頷いた。
「わし等みたいな因果な連中でもな、たまにはいいことしねえとな」
「そうですね。それじゃあ後で」
「ああ、そうしろ」
「わかりやした」
 彼等は相変わらず飲みながらそんな話をしていた。そしてこの頃公望は酒でふらふらとした感じながらも慣れた様子で廊下を進んでいた。やはり勝手知ったる家であるからよくわかっていた。
 その廊下を進みながら。彼は上を見上げた。そこには夜空がある。
「ふむ」
 その何一つとしてない漆黒の空を見る。確かに月はなかった。
「星の一つでもあれば別なのでおじゃるがな」
 それが残念でならなかった。しかしすぐにないものを言っても仕方がないと考えそれで終わらせた。そのうえで便所の前まで来る。すると目の前の便所の扉がすうっと開くのだった。
「おや、今出たところか」
「!?」
 公望は最初先程便所に出たあのやくざ者かと思った。しかし何かが違っていた。
「では次は麿が」
「次!?」
「はて」
 その異様な気配に公望も気付いた。
「何やら面妖な。如何した?」
「如何も何も」
 その出て来た者は見れば先程のやくざ者とは違っていた。異様に大きい。しかもその顔がやたらと大きい。長さにして数尺はゆうにあった。到底人の顔ではなかった。
「!?その方は」
「しまった」
 その顔の長い者は公望の言葉を受けて舌打ちするように言った。
「見られたか?これでは」
 そうして慌てて姿を消す。暗闇の中でその顔はまともに見ることはできなかったがそれでもそこには異様なものがあったことは公望もはっきりと感じていた。
「今のは一体」
 その異様なものを感じた彼は便意を完全になくしてしまった。蒼ざめた顔で引き返し慌てて部屋に戻ろうとする。しかしその時だった。 
 前からやって来る者がいた。やくざ者の一人が便所に行くのかと思った。それで彼はその者に声をかけることにした。親切心からである。
「ああ、今は用足しは別の場所でするのじゃ」
「はい?」
 聞
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