第四話
[7/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ええ!? 普通逃げ出すでしょ!?」
何で提案するキミがそこに驚くんだ!? 普通一緒に逃げてくれてありがとう的な返しが来ると思うでしょ!? いやそのお礼の内容が頓珍漢なのは置いといて。
とにかく断固としてこの少年を見殺しに生き延びようだなんて考えない。私は押し付けられる辛さを知っているんだ。あの重圧感と言ったら無い。私のレベルが高かったから良かったけど、Lv.4とかLv.5とかだったら間違いなく死ぬだろっていう押し付けされたことあるからね。具体的に迷宮の弧王を擦り付けられた時。
しっかし、このままだとマジで二人揃って死んじゃうぞ……。いくら私に発展アビリティが備わってるからといって、それは前世の私のようにオールSではなく、オールIだ。効果はほとんど見込めない。あればマシっていうレベル。
あと得物の質が悪いせいで、そもそもミノタウロスに攻撃が通用しないのも痛い。鏃が食い込むくらいだったらミノタウロスの胸に埋め込まれてる魔石をぶっ壊して無効化できるけど、鏃が筋肉に弾かれてしまうとなす術が無い。
そして私が持っている唯一の攻撃魔法【アルテマ】もダメ。体に溜まってる精神力を全部解放して発動させるあの魔法は最大で二階層を残らず全部吹っ飛ばせる威力を誇る。尤もそれは全盛期の頃の話で、基礎アビリティが振り出しに戻った今の私にそんなバカ火力は出せないだろうけど、最低でも半径50mを破壊する魔法だから無闇に撃つと、着弾地点の上下の階層にいる冒険者も巻き込みかねない。それに【アルテマ】自体私自身嫌いな魔法だから使いたくない。
私の中でぐるぐるあれやこれやと意見が飛び交うが、ことごとくと一蹴される。結局辿りつくのは下の階層に下がれるだけ下がって、強い冒険者に助けを求めるくらいだけだ。
「少年! まだ走れる!?」
「しょ、少年!? う、うん、何とか!」
しまった、また私が小さい女の子というの忘れてた。それは驚く。今度から口調も直していかないと……。
妙なところで鬱になりかけてる私に渇を入れるように、真後ろまで迫る二頭の猛牛に吼えられ背中を押される。
「そしてキミ、私より足が速いんだから、構わず逃げて! わざわざ私に合わせなくていいから!」
さっきの脱兎の如しスピードは収まり、私の隣よりやや後ろでキープするように走る少年の気遣いは凄い嬉しいけど、まずはキミ自身の身の安全が優先だ。
私がそう言うと、今にも涙が滲んでしまいそうな深紅の瞳が急に表情を変えて、決意と憤慨の色を湛えた。
「ダメだ!! 女の子を見捨てるくらいなら僕は死ぬ!!」
「ええ!? 普通逃げ出すでしょ!?」
何でさっきの意趣返しみたいになってるの!? ていうか、冗談じ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ