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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
第四話
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木っ端微塵に粉砕されて千切り飛ばされ、もれなく二つ角で仲良く串刺しにされるところだろうが、前世の人生ほぼ全てを捧げて研磨した私の技術は一味違う。
 
 まず、掌に鎧と間違えるくらい硬い筋肉の感触と火傷をしそうなほど発熱した感覚を覚えた。そして次に襲い来る衝撃が私を粉砕せんと掌に殺到してくる。このままでは本当に砕けてしまう。
 だからその瞬間にくっと手を僅かに引く。そうすると受けた衝撃が掌を通って腕に伝わる。そのままではまずいので更に筋肉と骨を連動させて肩、腹、腰、脚にウェーブ状に伝わらせて、最後の足先を躊躇わず地面に叩きつけた。

 瞬間、私を中心に巨大なクレーターが発生した。ばぐん! と轟音を響かせ辺り一面の地面に地割れが走り陥没する。
 そして、完璧に獲物を捕らえたと有頂天になっているであろうミノタウロスは、絶賛私の頭上で宙返りになって、虚空に脚をばたつかせている。私が勢いのまま走ってくるミノタウロスの脚を引っ掛けたのだ。もちろん襲ってくる衝撃を地面に逃がして、だ。

 クレア時代で大体七十歳前後のときに体得した体術、名づけて【水連】
 内容は至ってシンプル。貰った衝撃をどこかに受け流すだけ。言うは易し行うは難し。完璧に成功させないと体内で衝撃を炸裂させる羽目になるからかなり咄嗟のときにしかやらなかったけど、めちゃくちゃ便利な技だ。まあ、こんなことが出来ちゃうのもめちゃくちゃなんだろうけども。
 でも才能がからっきしと言われたクレアでも出来たのだ。才能ある武人や冒険者なら、やろうと思えば五年とかで体得できそうな気もする。ただ誰もこんなヤバイことしようと思わないだけで。

 この技を習得するきっかけになったのが、私が単独で各階層の完全なマッピングをしていたときだ。前に私が最後に切り開いたのは五十階層と言ったはずだけど、それは私がマッピングを完了させた階層の話で、実際はもっと深くまで潜ってる。マッピング度外視するなら六十階層まで潜った覚えがある。少しうろ覚えだけど。
 まあLv.10になってから控えようという話になったけど、やっぱり日々の稼ぎが無いと色々辛い面もあったし、それに私の後に続く冒険者のためにダンジョンの詳細な情報を集めてギルドに提供しようと思いついた私が取った行動が、完全なマッピングとモンスターリストの製作である。
 ここでは詳細を省くけど、そんな自分が全く得もしないことに付き合ってくれる人はいなかったからソロで続けていれば、当然多対一の場面も多く訪れるわけで、その戦局を覆すために今までの経験と感覚を元に編み出した技だ。本来はモンスターから貰った衝撃を違うモンスターに叩きつけるのが正規法だけど、今みたいに強引な護身法にも使える。

 勢いと衝撃を全て地面に逃がされたミノタウロス君を持ち上げるのは造作も無いことで、も
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