第二話
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まあ小難しい話はこれくらいとして、結論私はかなり運が良かったということだ。
さて、一年も経てば私も自然とハイハイを出来るわけで、実は生まれてから四ヶ月でハイハイするという怪奇現象を両親に見せてしまったこともある。
唐突だけど動けることって素晴らしいね。こんなに解放的になれるなんて、全く思わなかったよ。人は大切なものを失ったときに知ると言うけど、まさにその通りだと思ったよ。
「目を離すとすぐどっか言っちゃうんだから」
「元気いっぱいでいいじゃないか。生まれてすぐ泣かなかったから心配したもんだ」
「今も滅多に泣かないのよねぇ……」
心配を掛けてごめんなさい、お父さんお母さん。中身は八十歳のおばあちゃんだから許して……。
赤ちゃんは親を呼ぶために泣く。だから私はあんまり泣く意味が無いのだ。だって自分で動けるし、何をすればいいのか解るし、というかいい歳して泣き喚くのは恥ずかしい。まあ、お漏らしはあっさりしちゃうんだけど。
そんな心配しながらもわが子の成長を喜ぶ両親は裕福な家庭を持っている。……と思う。何せ前世の記憶では施設運営とか補助金とか遠慮なく使っていたから、若干金銭感覚が麻痺してるんだよねぇ……。
少なくとも迷宮都市オラリオにある二等くらいの住宅に住めるのは解る。
そしてレイナたる私はこの家庭の長女らしく、私以外子供はいない。そのためか少し度が過ぎてるくらい私を大切にしてくれている。たぶん、これが一般的な家庭なんだろう。むしろセレーネ様の場合尺で計れないからね……。
ひとまず前世と同じ女の子に生まれました。男の子になっていたらどうしようかと年甲斐もなく焦ったよ。そう考えると時間軸の件も合せて物凄い低確率を引き当てたんじゃないのかな。セレーネ様のお導きに違いない。
今日も今日とてセレーネ様へお祈りを捧げるのだった。
◆
五歳になった。いや自分でもバカかな? って思ったくらいだったけど、ようやく思い出した。
私の背中にびっしりと黒い刻印が刻まれてたんだ! 鏡で何度も見たことがある、セレーネ様が施してくれた家族の象徴と全く同じ! 見間違えるわけが無い。この刻印こそ私の誇りでもあるのだから。
何で今まで全く気づかなかったのかというと、それは両親が私の背を見ても何にも言わないし、反応もしなかったからだ。あまりにも自然と流されていたから私も流されてた。私の誇りを簡単に流していた自分をぶん殴りたい。
まあ違和感を感じてお父さんにもお母さんにも背中に何か書いてない? って聞いても何も書いてないよって答えられたから、私にしか見えないのか、はたまた何かしらのファミリアに所属していないと見えない仕組みなのかは解らないけど、とにかく両親は神聖文字を捉えることは出来なかったみたいだ
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