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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
閑話 第一話
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る左目を正面から浴びせるヘファイストスは、まるで実体験を元に話しているようだった。それはそうだ、ヘファイストスという神はこと鍛冶のことになるととんでもないことを仕出かす神なのだ。具体的には彼女の手によって作られた武具には生命が宿ったり。
 鍛冶に熱狂的な関心を寄せる彼女だからこそ、同じ気質のクレアに言えることがあるのかもしれない。

「私が、あの子に……」
「そうよ。親が子を教育するのは義務のようなものでしょう?」

 確かにそうだ。私はクレアを愛していても、彼女を縛るのが怖いあまりに何も教えてやることができなかった。

「ありがとうヘファイストス。大事なことを聞けたよ」
「頑固なんだか素直なんだか……」
「うちの言葉には何かないんか」
「あぁ、ありがとうロキ」
「何やそのついで感!?」

 全くと荒々しく酒を鯨飲するロキはつまみを食べながら徐々に出来上がっていく。彼女のファミリアが今はまだ列強と呼ばれていないのは、彼女の厳選を切り抜けてくる人がほんの一握りだからだ。
 今やオラリオのみならず全世界で有名なブランドとなりつつある【ヘファイストス・ファミリア】は主神自ら鍛冶の何たるかを伝授することで人に己の技術を教え、育った人が更に違う人に教えていくという関係を築いているからこそ成せるものだ。
 個々を大切に思い、個々に適した知恵を授ける。私が彼女たちから見習うべきことだ。

「ありがとう、二人とも」

 私は良い友を持った。



 神友二人からアドバイスを貰ったその日に私は帰ってきて早々にぶっ倒れたクレアにお願いした。私にも構ってほしいと。
 もともと私も娘が長時間外に出かけるのに少し抵抗があったし、それなりに肌を感じたいとも思っていた。だから彼女の休憩がてら私と触れ合って欲しい。
 すると驚くくらい素直に承諾してくれて毎日無休ペースが一週間に一度の休憩ペースの変わった。

 そこから彼女は劇的に変わった。もちろんステイタスの数値などは変わらないけど、根を切り詰めて挑んでいた分周りが見えなくなっていたところが、一度休憩を入れることで一旦整理して考えるようになった。

 それによってオラリオに舞い込む異常事態に適切に対処できるようになった。時に住宅街に現れたボス級モンスターを食い止めたり、時に【ヘファイストス・ファミリア】の存命を掛けた事態に駆けつけたり、闇派閥の本拠地を突き止めたり……。
 立ち止まることを覚えたことによって、彼女の努力に実が付き始めたのだ。もともと並々ならぬ努力が蓄えられていたことによってリミッターの限界を容易く突き破り、彼女の成長を止められるものは無くなっていった。

 でも、たった一つ、彼女を止めてしまうものがあった。それは、寿命。
 彼女が発現したスキル【不朽の心
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