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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
閑話 第一話
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別に私はファミリアを大きくしようと思ってるわけじゃないよ。ただ(クレア)を大事に思ってるだけ」

 そう言うとロキは理解できないとばかりに顔を顰めてため息を零した。

「理解できへんなぁ。確かにこの子の努力には目を瞠るもんがある。けど、正直言わせてもらうとこの子このままやと、自分を自分で殺すことになるで」

 ロキは荒い面が口調として現れているが、内面自分のファミリアのメンバーには細心の注意を払っている。それも子供同然のように。だから彼女とは共感し合える仲なのだけど、やはり少し食い違う部分もあるみたいだ。

「でもクレアがそれを喜びとしてしていたら」
「うん?」
「私に喜んでもらうことがクレアの喜びだったら、それを私が止めるのは惨いことなんじゃないかって」
「はぁ? 子供が親より先に死ぬことのほうがよっぽど惨いわ。親不孝にもほどがあるで」

 ロキはその価値観に従って、自分のファミリアに加入する者を篩に掛けて吟味する。冒険者になって死ぬか否か、それを見極めて審議を下している。他のファミリアからして見るとロキの判断基準は才能があるか否かという認識だが、正しくはダンジョンに抗えるか否かである。
 だからロキからして見ればダンジョンに抗えないと見えるクレアを止めない私がよっぽど惨く見えるのだ。

「クレアは死なないよ」
「ほー。理由を聞かせてもらおうか」
「死なないって言ってくれたから」
「……下手なこと言わん、根性論を相場に出すアホがおるか」

 酒をぐぐっと呷ったロキは顰めた顔のまま続ける。

「うちは努力を否定するつもりはない。むしろ人たちには必要なもんや。でもな、物事には限度っちゅうもんがある。このクレアちゃんに関して言えば度が過ぎとる。運動することは大事やけど、疲れた体を休ませるのも大事や」
「まぁロキ、一旦落ち着きなさい。下手なこと言いまくってるわよ」

 つらつらと文句を並べていたロキを止めたのは、話を静かに聞いて酒を飲んでいたヘファイストスだ。
 彼女の眼帯にきっと睨んだロキだが、大して気にせずヘファイストスは言った。

「私は鍛冶師専門のファミリアだから貴女たちより認識が薄いけど、趣味という点では理解してるわ」
「趣味ぃ?」
「そう。だってそのクレアって子はセレーネに尽くすのを喜びにしているんでしょう? なら立派な趣味じゃない」
「自殺志願者か何かの間違いやで」
「最後まで聞きなさい。一つのことに夢中になるのは悪いことじゃないのよ。むしろそういった酔狂な人がとんでもないことを仕出かすのが人間だもの。だけどそういう人たちに限って節度の管理が凄い上手いのよ。天性のものでしょうけどね。それがクレアには無い。だから親である貴女が、その子に教えてあげなくちゃいけない」

 ルビーに光
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