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リリなのinボクらの太陽サーガ
預言
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か力になりたい、と私達は思いましたが、彼は常人には到底こなせない凄まじい努力と訓練によってメキメキと頭角を現し、才能もあったのか手をこまねいている間に私達の手の届かない領域にまで行ってしまいました」

「世間では最年少執務官としてクロノ・ハラオウンさんが有名だけど、実は最年少提督に輝いてるのはサルタナなのよ。仕事柄であまり公にはなってないけど……」

な、なんか凄い壮絶な人生をたどってきたんやな、あの人も。元々生まれた家からは捨てられた上、孤児院に拾われて家族として育った大切な仲間を戦争で瞬く間に失い、たった一人で生きていかなくてはならなくなった。そんな人生……悲しすぎるわ。もし私が同じような目に遭ったら、家族を失った時点できっと心が壊れてしまっとる。そう考えるとサルタナ提督は、表に出さないだけで実際はかなり心が疲弊しとるんやないかと思う。そんな心配は、カリムの次の言葉で覆された。

「でも数年前のある日、サルタナはとある女性を救出した。それが今の彼の副官であるエレン・クリストールさんよ。心に同じような傷を持つ彼女が来てからサルタナは孤独だった心を解放していって、彼の部下や仲間達から強い信頼を得られる人間へと成長していったの」

「そして今に至ります。私達としては彼の力になれなかった事で多少の無念はありますが、それでもサルタナさんが生き甲斐を見つけられた事は友人として祝福しています。それにエレンさんも、サルタナさんと相性がとても良くてお似合いですからね。お二人にはぜひ幸せになってもらいたいものです」

「詳しい経緯はともかく、彼らの大まかな経緯は大体こんな感じよ。そしてはやてさん、あなた達にはそんな彼が力を貸してくれているという事実を、しっかり認識してほしいの。家族を失った彼が茨の道を歩もうとしているあなた達に、家族を失う苦しみを与えないようにしているという事実を……」

「……はい。私は……色んな人が色んな事情を抱えながら生きている事は頭では理解していましたが、心から理解しているかと言われると疑問が残っていました。でも……こうして二人の話を聞くことで、周りにいる人がどんな気持ちで支えてくれているのか、心の底からわかりました。だからこそ、私はそんな皆のために生きて頑張っていこうと改めて決意しました。カリムさん、この話をしてくれて……ありがとうございます」

そう言うと、カリムとシャッハは嬉しそうに微笑んでくれた。しんみりとした空気が流れるが、それは決して落ち込むようなものやなくて、むしろ励まされる雰囲気のものやった。

「そういえばサルタナ提督が“提督”と呼ばれるのを嫌う理由って、何か知ってはりますか?」

「単純と言えば単純だけど、彼の世界で孤児院や街に焼夷作戦を行ったのが敵国のとある提督だったという事を知ってから、“提
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