Chapter01『非公式のセカイ』
第一章 開かれる大劇場 An_Encounter_With.
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槇学園は名門校である長点上機学園とまではいかないものの、そこそこ有名な学園である事は確かだ。故に在籍する生徒も大脳力者が多数いて、生徒の学力向上と成長を促すために、こういった福祉的な部分にも力を入れているらしい。
その結果、このように学生一人が住むには十分すぎる設備の寮で生活ができているのだ。
今晩は何を食べようかなどと頭の片隅で考えながら、集はついでにジュースでも買っていこうと備え付けの自販機に足を進める。
「さーてと、何を飲もうかねぇ……」
懐から取り出した小銭を投入口に入れながら、品揃え豊富な自販機に視線を張り巡らせる。
いつもはきなこミクルティーという甘々な組み合わせのジュースを購入しているのだが、この際新しいレパートリーを増やすのも悪くないと思い立ち、飲んだことのないものを選ぼうと視線をあっちへこっちへ移し続けたのだが、どれにしようか迷う。
何と言っても学園都市には自販機に限らず飲食ではチャレンジ精神に満ちあふれたキテレツな食品が数多く存在している。
代表的なのが今目の前にある『イチゴおでん』とかいう缶。甘党な彼でさえ買うのを躊躇うような一品もあったりと、このように美味しいのか微妙なものが溢れんばかりにあるのだ。
下手に手を出して失敗したくはない。
自然と慎重になる折槻の背後に、謎の人影が───
「品物選びで思い悩んでいるのなら、皆が大好きヤシの実サイダーをオススメします、とミサカはさり気なく自分の好みを貴方に推し進めてみます」
「そうか? じゃ俺もそれにするわ」
促されるままに聞かされた商品と同じ品名のボタンを見つけ、ヤシの実サイダーなる物を購入した。
身を少しかかげて缶ジュースを取り出すと、折槻は笑顔で振り返った。
「いやーありが…と、な───────」
その姿を見て、言葉を失った。
人目見ただけなら、かの常盤台中学のエース御坂美琴と見間違うであろうその外見に、少女に不釣り合いな頭のゴツい軍用ゴーグル。
いや、その容姿に関することなど、今この瞬間の集には完全に気にならなかった。否、気に出来る余裕などなかった。
瞬間、時間が止まった。
それは少女に見惚れたなんていう柔らかいものではなく、ただ……少女が背負う何かに惹きつけられた。
それを一言で現すとしたら、
──────儚い。
と、その言葉だけに尽きる。
集から見て、ただただ儚いと感じた。
──────何故────こんなにも近くにいるのに───何故───この少女は─────今にも消え入りそうなのか───────
何故──────こんなにも────彼女の瞳は─────闇色に染ま
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