Chapter01『非公式のセカイ』
第一章 開かれる大劇場 An_Encounter_With.
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にテレポートする。
────しかし、その選択は間違いだった。
「ひゃッ!?」
突然、ビリビリとした感覚が体の至るところを突き抜け、軽く痙攣しながら彼女の体は地面に倒れ込んだ。
その後ろでは、指先にバチィッと青白い電撃を迸らせた金髪の少年の姿が。
「ゴメンな。数分したら治まると思うから、そんじゃ!」
逃げるように走り出した折槻。
その背に向かって少女は叫ぶ。
「ちょ、お待ちなさいな! あー痺れますの!?」
悲痛の叫びを上げながらその場で悶える少女。手錠を消失させ、コンクリートで舗装された道を自在に変形させ、挙げ句には自分の敬愛する人物と同じ電撃まで操作する謎の少年。
何者なのか思考する少女。その時にはすでに、折槻集の姿はどこにもなかった。
2
「ほんッと、退屈しなさ過ぎだろこの街は……!」
風紀委員の少女から逃げ延びてきた折槻は、急いで街道を駆け抜けていた。
逃げ切るには十分なところまで来れたとは思うのだが、相手がテレポーターであるため保険もかねて十二分な距離をさらにとる。
近未来的な建造物が多く立ち並ぶ街道をあっちへこっちへと駆け抜けること十五分。丁度、公共の公園に入ったと同時に足を止めた。
「ふゥ……ッたくいい迷惑だ。ま、ここまで来れば大丈夫だろ」
額に浮かぶ汗を手で拭いながら、少年は手直に見つけたベンチに腰掛ける。緊張が抜けたからか、疲れが一気に体に押し寄せてきた。同時に、腹の虫がグゥと鳴く。
お腹をさすりながら、視線を公園に設置された時計台に。時刻は十四時を少し過ぎたと言ったところか。昼食をとったのが早めの時間帯であったことに加え、今の今まで走り通しだったこともあり小腹が空いてきた。
右手に握られたコンビニ袋。中にはトラブルに巻き込まれる前に購入した甘菓子類が所狭しと詰め込まれている。
丁度いいとおやつを食す気分で袋の封を開けてみれば、
「うーわぁ……」
中身は見事にシェイクされていた。それはもうアイスやケーキは混ぜくられグチャグチャに。これは食べられたものではない。
ハァとため息を吐くと、立ち上がりそのシェイクされたコンビニ袋をゴミ箱へ放り込む。名残惜しそうにゴミ箱を幾分が眺めた後、彼は家に帰ろうと帰路へ向け歩き出した。
3
折槻集が自身の在籍する彩槇学園の学生寮に帰り着いたのは、すでに空が茜色に染められた時間帯だった。
ふと見上げれば、そこには高校生が生活する寮というより裕福な人種が住まう高級マンションのような外観をした建造物がそびえ立っている。
折槻の通う彩
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