暁 〜小説投稿サイト〜
骨斧式・コラボ達と、幕間達の放置場所
番外『有り得ぬ世界』
交節・ぶつかりし狂気は紅(あか)と青
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鄙な平原へ来られるのだから、てっきり私と同じかとも思いましたが」
「まあ、こんな所にのこのこ訪れれば、確かにそう思っても不思議じゃあないな」


 数瞬間、目の前の彼女こそが、先の噂の根源たる攻略組壊滅を齎したプレイヤーなのかもしれないと、アオは当然考えないでもなかった。

 だが、フードから若干垣間見える笑みには彼の狂気とは似もせず、寧ろ全く違う純粋な幼児の如きモノだけしか含まれておらず、武器もスコーピオン等の複合ポールアームでは無い、振りやすく素早い短剣。
 殺戮して回る人間が月を見るなども考えられず、アオは見当違いと値を付けたのだ。


 何よりカーソルがグリーン、これ以上明確に否定できる要素など有りはしない。


 彼女から話しかけてきたのだから、別に挨拶はしなくて良かろうと、アオは何も言わず黙って背を向け今度こそ立ち去っていこうとする。


「……そういえば、貴方。随分落胆していましたが、私が何か粗相でも犯しましたでしょうか?」
「いや、個人的な事だ。お前には関係ない」


 呼び止められ一旦足を止めたアオは、至極当然の言葉を返した。

 すると女性は、何が可笑しいのかクックッと詰まるような笑い声を漏らした。
 何があろうともシカトを決め込み、さっさとこの場を後にしようとは考えていたものの、流石に意味不明なこれを無視できる筈も無くアオは体を半身にして、一応少女―――否、女性の方へ視線を向ける。


「何が可笑しい?」
「フ、ウフフ……」


 女性の笑い声から数十秒間の無言なる時が過ぎ、アオが待ちきれなくなったか口を開けようとして……女性は瓦礫のイスから腰を上げて、体ごと彼へ向き直った。

 そして、まだ詳しくは造形が分からないが、ニッコリ満面の笑みを浮かべている事だけは分かる顔を見せて、小首を傾げる。


「私の見当違いでしょうかね? 貴方からは並々ならぬ執着心を感じたもので?」
「……何が言いたい」
「恐らく、ですが……貴方の求めるモノは―――」


 そう言って女性はケープのフードを下ろし、瞬間、アオの表情が固まった。



「闘争と……そしてこの私のようにも、感じたのですが、ねぇ♪」


 触角状のツインアップ、赤い髪、何より顔の『Ω』上の刺青……間違い無かった。
 目の前の彼女こそ、紛う無き “あの” 女性プレイヤー、アオが探し求めている人物だったのだ。

 メニューを素早く操作してスコーピオンを取り出し、フーデッドケープを千切る様にして放った下から現れた服装で、最早そこにいる人物の真偽など窺いようも無くなった。


「はは、ははは! そうか、お前か! お前だったのか!!」
「うるさいですよ? 月明かりの情緒が大無しになってしまいま
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