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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
第一話
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てきたセレーネ様が甚だ遺憾といわんばかりに不満げに教えてくれたのだが、可愛らしい名前だしまさにその通りだから、むしろさすが神様たちネーミングセンスばっちり! って思ったんだけど、どうやらセレーネ様の感性は許さないらしい。

「まったく、私の可愛いクレアにこんな名前を送るなんて考えられないよ! ロキも悪乗りしちゃってさ!」

 ぷんぷん怒るセレーネ様を初めて見るけど、ぜんぜん怖くなくてむしろ可愛い。自分で作った祝勝会の料理を食べて至極満悦という顔をするし。二つ名には不満だけど神会で私の話題が挙がったとき悪口らしいことは一つも言われなくて良かったと喜んでいた。

 これでセレーネ様の地位も少しだけどあがったはず! この喜びにいつまでも浸っていないで、また明日から精進するぞ!



 私もとうとうLv.4まで登ってきたか……。ここまで来るのに早くも十年は過ぎようとしているね。 
 一般的に青春と呼ばれるものを経験することなくひたすら自分を研鑽する日々……。でも全く苦痛には感じなかった。むしろ幸福とさえ感じている。何も私がドMだからというわけではなくて、目に見えてセレーネ様の力になれている実感があるからだ。
 
 今はボロアパートから一軒家に変わっていて、家具もそれなりに揃ってきた。Lv.3に上がったときにセレーネ様が「そろそろ私のことも構って欲しいなぁ」と言ってくれたので、さすがに駆け出しのころのようなスケジュールではないけれど、一般的な冒険者より少し急がしめの日々を送っている。
 休息日にはセレーネ様と買い物をしに行ったりセレーネ様とご友好のある神様に会いに行ったりとしている。

 その中で驚いたことは、セレーネ様の顔の広さだった。ファミリアと言われれば誰もが真っ先にあげるゼウス様、ヘラ様はもちろんのこと、ウラノス様にロキ様にヘファイストス様、更にフレイヤ様とも縁があるようで、神様たちの間でもセレーネ様の立ち位置はかなり高いとのこと。
 今の今までそんなことを知らなかった私にみんな一様に呆れた様子だった。何でもセレーネ様は偏屈者の集まりの神様の中で良識のある神様で、それなりの知名度もあるはずなのに一人しかファミリアに入団を許さなかったのだそうだ。余程その一人が凄いはずだと目をつけた神様たちは、箱の中をのぞいた瞬間に失望し、セレーネ様に何でそんな奴を大事にするのかと詰問したそうだ。
 しかしセレーネ様は「私の大切な娘を貶すな」と誰も見たことがなかった怒り顔で言い放って今に至る……。

 私はそんなにセレーネ様に大切に思われているなんて思わなかった……。もちろん友好的な関係だと思っていたけれど、まさか他の入団希望者を払ってまで私の面倒を見たいと思ってくれていたなんて夢にも思わなかった。
 ただの小娘を匿って育ててくれただけ
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