第四十一話 継承
[1/2]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「私、オジロニア・エル・ケル・グランアバニアがパパス・エル・ケル・グランバニアに代わりてアベル・エル・ケル・グランバニアに王位を継承する。前へ」
アベルはオジロンさんの前に出、跪いた。
「汝、アベル・エル・ケル・グランバニアはグランバニア王位を継承する。汝は王冠を被る覚悟はあるか?この国を支える覚悟はあるか?」
「この身朽ちるまで」
アベルはオジロンさんの問いに即答した。オジロンさんは頷くと、アベルの頭へ王冠を被せた。
「マーサ・エル・シ・グランバニアに代わりてビアンカ・エル・シ・グランバニアに尋ねる。そなたは王妃となり、王をそして国を支える覚悟はあるか?」
「永遠に」
その言葉も、眼差しも凛としていた。オジロンさんは再び頷くとビアンカの頭にティアラを被せた。
「では、新王の演説を」
アベルは頷くと前に出た。
「この度、グランバニアの新王となったアベル・エル・ケル・グランバニアです。
正直に言ってしまいますが私は政というものが何なのか、王というものがどうあるべきなのか、国というものがどんなものであるのか全く知りません。私は無知な王です。
しかし、私は先王であったパパスに憧れています。パパスに追いつき、パパスが見てきたものがなんなのか理解したいのです。父の遺志を受け継ぎ、父がいた場所に立つことで何かを知りたい、何かを感じたいのです。
こんな国王で頼りないと感じるかもしれませんがどうか、アベル・エル・ケル・グランバニアをよろしくお願いします。
願わくばこの国が皆様と共にあらんことを」
アベルの演説が終わると、拍手が起こった。最初は小さな拍手がまばらに聞こえるだけだったがだんだん大きくなっていき、ついには拍手の洪水が起こった。
オジロンさんはどことなく嬉しそうな顔をしていたが、その顔を厳粛なものにすると荘厳な声を出した。
「今、この時より新たな王と王妃が誕生した!アベル・エル・ケル、グランバニア、ビアンカ・エル・シ・グランバニア。両者の繁栄を願って、祈りを」
私は新たな王と王妃が果てなく栄えることを祈った。それだけじゃない。アベルの人生がもう何者にも引き裂かれないことを。私みたいに第三者に日常の温もりを奪われないことを心から祈り、願った。
*
継承式が終わるとパーティが始まった。
私はドリスやモンスター達と一緒に料理を食べたがこれがまた絶品だった。
その後皆と食後の紅茶(もう酒を間違って飲みたくないので飲み物はお茶にしている)を飲みながら他愛ない会話をしているうちにパーティはお開きとなった。
自室に戻ろうと廊下を歩いていると誰かとぶつかりそうになった。
「ごめんなさい、大丈夫でしたか」
そ
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ