暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
空白期 中学編 27 「とある騎士の想い」
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だが。
 などと思っているうちにショウはファラを起動し、黒のバリアジャケットを纏う。手には漆黒に輝く長剣化したファラが握られている。
 黒衣の魔導師……いや、ショウのスタイルからして魔導剣士って言うほうが合ってるか。まあベルカの魔法も使えるわけだから、はやてみてぇに魔導騎士でも良い気もすっけど。
 ショウと初めて戦闘を行ったのはあの事件のとき。お互いに願いは同じでも刃を交えることになってしまった。事件の終盤にあたしはショウに悪魔といった言葉を使ってしまい、関係は崩れてしまうかとも思った時期もある。
 だが……現実はこうして気軽に会話して偶に一緒に訓練したり買い物に行ったりしている。あたしにとってかけがえのない絆は今でも存在しているのだ。この絆はこの先もずっと……。
 ――なんて考えてる場合じゃねぇよな。
 今のショウは過去のショウとは違う。天才でもなく何か飛び抜けたものを持っているわけでもねぇが、色んな奴にコツとかを教わって魔法全体の熟練度を高めてきた奴だ。それは技術者としての道を進み始めてからも変わらない。

「…………」

 ショウは剣を下段で構えて緩く立っている。初撃は下方向からの弱攻撃……と読めるが、今回は別に近接戦闘オンリーの模擬戦じゃねぇ。魔力弾をぶっ放してくる可能性は充分にある。
 ったく……ある意味なのはやフェイト、シグナム達とやるより厄介な相手だぜ。あいつらは自分の長所を活かしたスタイルで戦うから予想もしやすいが、ショウは近距離から遠距離までこなしやがる。
 本来、一般の魔導師相手で近接戦ならベルカの騎士であるあたしに軍配が上がる。だがショウはシグナムとまともにやりあえるほどの剣の達人だ。ベルカ式の魔法も使えるため、近接戦でも有利に立つのは難しい。
 またあたしは射撃戦も出来なくはねぇけど、魔法体系的にベルカよりミッド式のほうが有利だ。つまり、保有魔力量くらいしか有利に立てていないことになる。
 だからといって長期戦に持ち込むのも趣味じゃねぇ……何とか懐に潜り込んでデケェ一撃を叩き込んでやる。まずは

「行くぜ!」

 鉄球を4発設置し、それをアイゼンで強打して撃ち出す。あたしの中距離誘導型射撃魔法《シュワルベフリーゲン》だ。
 上下左右から襲い掛かり、中央に集まるように着弾しようとした矢先、ショウの姿が一気に大きくなる。今日までのトレーニングで鍛えられた身体能力に魔法による身体強化を行っての踏み込み、そこにフェイト仕込みの超高速魔法を合わせてきたのだろう。特化した魔法は持ってねぇが、こんな風に組み合わせられると非常に厄介だ。

「シッ……」

 全く力感を感じさせないが強烈な威力を感じさせる魔力を帯びた斬撃が向かってくる。だけどこの展開はあたしの予想通りだ。
 ――一撃の重みなら負けねぇんだ
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