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ドリトル先生と二本尻尾の猫
第七幕その四

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「先生がこれは酷いって言ってたけれど」
「うん、自分の会社の株の売却だったね」
 先生も応えます。
「株を売らないって言っててね」
「それで売ってね」
「売ってから後で売るつもりだったって言ってたんだよ」
「完全に嘘よね、それって」
「明らかにね」
 まさにその通りだというのです。
「嘘だよ」
「そうよね」
「そもそも借金がね」
「十億単位で増えるって」
「おかしいじゃない」
 世間のお金のことには疎い先生でも言います。
「それって」
「十億って大きいわよね」
「それが増えるってね」
「嘘にしてもね」
「悪質だし」
 先生はさらに言うのでした。
「しかも言っている借金がどんどん増えていく」
「それお店でやったらアウトよ」
 お静さんも言ってきました。
「潰れるわよ」
「そうだよね」
「その社長さんの話なら私も知ってるわ」
 お静さんにしてもというのです。
「嘘吐きでしかも暴言ばかり言って他人のことなんかどうでもいいっていう」
「とんでもない人なんだね」
「あの社長会社をとんでもないことにするわよ」
 お静さんは眉を顰めさせて言うのでした。
「あの会社もう徹底的に傾くわ」
「嘘吐きが社長だから?」
「そう、大変なことになるわよ」
「潰れるかな」
「そうなるかもね」
 そうなることも有り得るというのです。
「何か色々悪いことが得意で誰も辞めさせられないけれど」
「最悪だね」
「絶対に社長になってはいけない人だったのよ」
 そしてその人が社長になってしまったからです。
「あの会社はね」
「とんでもないことになるんだね」
「私占いも出来るのよ」
「趣味でしてるのかな」
「そうなの、それであの会社と社長も占ったけれど」
「悪くない結果が出たんだね」
「占ってるこっちがびっくりしたわ」
 そのお静さんがというのです。
「本当にとんでもないことになってる会社で」
「とんでもない人なんだ」
「ええ、何度占っても悪い結果が出たから」
「嘘吐きって会社の社長さんとかにしたらいけないんだね」
「絶対にね」
「信用出来ないからね」 
 先生も言います。
「そして嘘ばかり言ってると恥も忘れるから」
「恥を恥を思わない人は怖いわよ」 
 お静さんはまた先生に応えました。
「どんなこともするから」
「恥を恥と思わなくなった時が一番怖いね」
「そう、そこから徹底的に腐るから」
「人間としてね」
「だから怖いのよね」 
「その通りだね」
 先生は真剣なお顔でお話するのでした。
「僕はそんな人にはなりたくないから」
「殆どの人がそうよ」
「だからね」
「先生は嘘を言わないのね」
「そんな人になりたくないから」
 絶対に、というのです。
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