第一三話「元暗部の奴ら」
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った』
「分かってるわ。このお礼は、いつか精神的に」
彼女が精神的になんて言うとそういうこと(実際にしたことがあると査楽は睨んでいる。本人は肯定してないが)だと思ってしまう。が、通話口のシルバークロースは詰まらなそうに『ま、期待はせんわ』と言い放った。この男、そのようなことに興味はないのだろうか。
──と、頭の中でそんなことを思うところ、ちゃんと査楽も思春期の男子であった。
『じゃ。こっちは黒夜と合流でき次第動く。あの忍者やくノ一もすでに動いているらしいから、何かあったらそっちに連絡を取るといい』
「オーケー。じゃ、今夜ね」
こうして通話を切り、心理定規は携帯をしまい込む。査楽の方も「やれやれ……」という感じでゆっくりと腰を上げた。
「まったく……」
自らの携帯を取り出し、メール欄を確認する。先ほどまでマナーモードにしていたからか気付かなかったが、自分の物にも先ほど心理定規に届いた物とまったく同じ内容のメールが届いているはずだ。
メール欄でそれを確認し、査楽は歩き出した。いつの間にか立ち上がっていた心理定規もそれに続いて、2人は公園から出た。
やはり自分たちにこのような明るすぎる場所は似合わないかもしれない。
そんなことを思う査楽。右手に歩いている少女が同じことを思っているかは分からないが、いつまでもあのような日が照る場所にはいられないような存在であることは確かであろう。
一方通行が「表」に慣れたように、彼らもある程度「表」でその存在が認められるように過ごしてきた。
しかし、自分はどう足掻いても日陰者という過去から逃れられないかもしれない。だが、それはそれでいい。
査楽は同時に、ある少年の顔を思い出していた。
馬場芳郎。
かつて同じ「メンバー」に所属した構成員の1人であり、今の今まで動向がはっきりとしていない、行方不明だった人物。
査楽の手には、今の彼のいる場所についての情報があるはずだ。
『脱落者』。
どういう組織か完全には知らない。それが学園都市のあらゆる抗争によって敗北した敗者たちの集まりであること、構成員が皆、学園都市に強烈な憎悪を持っていること、それさえ分かればいい。
博士というリーダーがいなくなった今、別に学園都市の為に動く必要などない。
だからこれは査楽や心理定規の個人的な意思や考えによるものだ。
「さて……行きますかね」
「面倒くさいけどね」
こうして、彼らは今一度「学園都市の暗部」へとを姿を消す。
この日、学園都市にいる全ての元暗部が動き出すことになる。ある者は己の野望のため。ある者は己が守る者を守り通すため。ある者は個人的な問題のため。ある者は死
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