暁 〜小説投稿サイト〜
乱世の確率事象改変
幕間  〜幸せを探すツバサ〜
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その通りだったようで、言い当てられた店主は頬を引くつかせている。
 そんなやり取りの最中、秋斗の商売知識に驚きを隠せないのは詠と雛里だった。

「ねぇ雛里。秋斗ってホントなんなの?」
「わ、わかりません。専属契約に卸売り、それに法関係での問題点まで……大量生産する職人さんとお店でよくある関係ですが、まさかこんな簡単に問題事案を上げられるなんて……」

 土地が違って法が違うことの問題など、歴史では有り触れている。社会人として過ごせば契約など耳にたこが出来るほど聞いている。この時代と現代では、あまりに知識の幅が違い過ぎた。

 そして、彼が街でどういった仕事をしているかは完全に把握しきれていない。幽州の娘娘での商人との交渉事は彼の分野であったし、平原でも徐州でも報告は上がれど結果の数値報告くらいしか書類には起こされない。
 そも、朱里が内政のほとんどを担当していたのだし、商人との細かい繋がりは把握しきれていないのだ。詠であっても、政治分野を手広くまかなっていたが、広いが故に一分野で重点的ということはなく。
 どの時代でも商人だけのネットワークはあるが、この時代の為政者のほとんどは商人をそこまで重視せず、深い関わり合いを持って改善していこうとする人物は少なかったりする。
 その分野で化け物と呼ばれるモノの一人を、詠も雛里も知っている。そして秋斗は、その人物を最重要として華琳の為に生かす道を選んでいたりする。

――秋斗が張勲をどうしても生かしたい理由はコレか。

 袁家の半分を動かしていた影のモノは、情報分析と些細な気付きに関して特に群を抜いている。
 今も昔も、国を回すのに必要なのは人と金である。必然、七乃はその分野に重きを置いて動かしやすくしていたのだ。

「秋斗さん凄いなぁ……」

 ほわほわとした空気を漂わせながら、月がそんな言葉を漏らした。
 照れた秋斗は、頬を指で掻いてなんとも言い難い表情で口を開いた。

「ま、まああれだ。この街とか周辺、あと洛陽なんかも商業分野に力を入れてくらしいからさ、その時は声かけるよ。よかったら店とか出して欲しいんだ」
「お、おう? 罪滅ぼしの同情なら要らねぇぜ?」

 いきなりの勧誘に面喰った店主ではあるが、彼の目を見つめて心の中を推しはかろうと探りを入れる。

「ちげぇよ。ちょっと銀細工の指輪を広めたくてさ。装飾系に詳しそうな曹操殿やら袁麗羽にお前さんの弟の商品の価値を見極めて貰ってそれからになるけど」

 特に麗羽であれば大丈夫だろう。高級品に馴染み深い彼女の目利きは誰よりもずば抜けているのだから。

「エンゲージリングっつってな。とある国では婚約する時に、男が女に指輪を贈って契りを交わす習慣がある。そんで結婚指輪って言って……結婚した後にお互いが同じカタ
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