幕間 〜幸せを探すツバサ〜
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殿が休みをくれて一緒に街を廻ってんだ。ゲスの勘繰りはやめてくれや」
「またまたぁ! んなこと言っていっつもゆえゆえちゃんと一緒に居たじゃないっすか!」
「てっきり恋仲なんだとばかり……でもこの子って……おお、鳳統様だ! 帽子かぶってないから分かんなかったっ」
「んじゃこっちの子も文官様なんで?」
やいのやいのと盛り上がる。彼の言い分などおかまいなしに。
これだけ目立てば次第に人が集まってくるのは自然なことで、彼はうんざりと言ったようにため息をまた一つ。
「休日なんだからゆっくりしてぇ。イロイロと今度答えるって事で勘弁してくれ、な? そん時は出店のお菓子でも食いながらでどうよ」
「マジ!? じゃあ娘娘のくれぇぷで頼む!」
「俺も俺も!」
「俺はあいすがいいなぁ」
「おごるなんざぁ誰が言ったよ? クク、もちろん食うもんは自腹だバーカ」
「うげ……じゃあ食事街の団子屋でいいや」
「えー、そりゃないぜぇ」
「偶には奢ってくれよ徐晃様ぁ」
「却下だ。そうさな、お前さんらが出世したら考えてやんよ」
「お、言ったな? 絶対だぜ?」
「まあ、女の子と一緒に時間を邪魔すんのも野暮だった。すまねぇ徐晃様」
「構わんよ。お前らも休日なんだろ? ゆっくり休めよー」
「あいよ。んじゃまた、ウチの店を御贔屓に」
「警備ん時はよろしく頼むぜ」
「現場に使えそうな若い衆の斡旋もよろしくなー」
口ぐちに言って、笑みを浮かべながら手を振って離れて行った。見送り呆れながらも楽しそうな彼は、男達との会話を楽しんでいたのだと分かる。
彼は鼻歌混じりに歩みを進める。いつもそうやって楽しげに、否、先程のことがあってか、今日はより一層楽しそうだった。
彼女達としては少しばかり面白くない。
「……相変わらず楽しそうね」
彼が男と一緒の方が楽しそうだと思う。せっかくの休日なのだ、彼もより楽しい方がいいのではないかと考えてしまうのも、徐晃隊と過ごす彼を見てきた彼女達としては当然で。
「ん? あー……まあ、男の方が話しやすいってのはあるかな。女の子も女の子同士の方が話しやすいだろ?」
「それは、そうですが……」
煮え切らない。
些細な嫉妬だ。楽しそうな笑顔を向けられるのが自分達でもあって欲しいと、それだけのこと。
男同士で笑いあう姿を隣で見ればそういった欲求が湧くのは普通で、恋をしている女の子にはありがちな思考である。
ふっと、彼は小さく笑った。
「お前さんらとこうして歩いてるだけで楽しいって言ったら……信じてくれるか?」
流し目で悪戯っぽい笑顔は子供のよう。心臓が跳ねたのはソレを向けられた詠であった。
――その言い方ってずるくない? なによ、秋斗のくせに。
認めてしまった恋心
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