幕間 〜幸せを探すツバサ〜
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皆が仕事に動いている最中ではあるが、休日ならばと四人で朝ご飯を作って食べてからが今である。
中途半端な時間ではあるがお腹は空いていない。このままのんびりと街を視察していくのも悪くないだろう。
「服でも見る? あんたって似たような服ばっかり着てるし」
「一応変装用に民の服は持ってるぞ?」
「そういう意味じゃないんだけど」
「ってか俺の服見て回ってどうすんだよ。可愛いお前さんらが着ればさらに可愛く見えるような服を買いに行った方が世の為、人の為だ」
「あわっ」
「へうっ」
「っ! あんたって奴はっ! 直ぐにそういうこと言わないの!」
「いてぇっ」
べしっと肩を叩かれる。褒めただけなのに……と零すが、惚れた側としては堪ったモノではない。
赤い顔で睨む詠と、恥ずかしくて俯く雛里と月。通りを行く人で彼を知っている民の幾人かは、そんな彼の様子に少し噴き出していた。
「ふはっ、徐晃様は尻に敷かれてんですかい?」
「さすがの黒麒麟も可愛い女の子には勝てませんわなぁ」
若い男達が数人、声を掛けた。力仕事の一人、商店の息子の一人、警備兵の一人などなど多様な職種の仲間内。
彼に対して堅苦しい空気はいらない。畏敬を置かず好きに話し掛ければいい。そういった価値観が街には染み渡っている。
そも、子供と遊ぶのが好きなこの男は、口を開けば案外軽いのだ。威張り散らすこともないし親しげに話し掛けてくる。下らない冗談で笑って欲しくていつもバカをする。男達にとって憧れの対象であるのは戦場の黒麒麟で、街で暮らす彼はまるで友達のように感じていた。
にやにやと茶化す時の目のカタチは徐晃隊のバカ共と変わらない。こういう時『あ、やばい』と思った時には遅いのがほとんどである。
「んでんで? この子達とは何処まで行ってんです?」
「そりゃお前、徐晃様はほら……な? こんな可愛らしいようじ……女の子達に囲まれたら我慢なんざ出来ないさ」
「うわー、鬼畜っすね。徐晃様が街の広場で子供達と遊んでる時の警戒人数多くしなくちゃなんねぇな」
口ぐちに言いたい放題だった。彼らとて話題に飢えている。娯楽が少ないこの時代、例え彼の異端知識でいろいろとこの街での遊びの幅が広がっているとは言っても、噂話は極上の娯楽。特に彼の場合は。
男達のノリに困るのは少女達。手を出されていないとは言えないし、手を出されたと嘘をつくことも出来るわけが無く、ただの友達だと言うのも嫌で、恋仲だと言うのも間違い。まさに、どうすればいいのか分からない状態だった。
「お前ら……暇なんだなぁ」
呆れのため息をついて、彼はがっくりと肩を落とした。
「この子達は前の軍からの旧知でな、ゆえゆえ以外は他の場所に仕事で赴いてたからさ、旧い絆を暖めるのも大切だって曹操
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