幕間 〜幸せを探すツバサ〜
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二つのツバサは今の秋斗から黒麒麟と雛里への贈り物。
彼女の幸せを取り戻す為に、ツバサの一翼を借りることにして、宝物だと優しく箱を握りしめた。
「……秋斗ー? 選んでくれない?」
「わ、私達では決められなくて……」
「あなたに選んでほしいです」
ずっと選んでいた彼女達から声が掛かった。
あまりそういうのは得意じゃないんだが……と苦笑ながらに零して、秋斗は彼女達に近付いて行く。
自分が決めてもいいんだろうかと思うも、彼女達が願ったのだから聞くべきで、それが出来ぬなら男とは言えない。
一人一人に似合う華を……黒麒麟と共に想いを繋いでいる彼女達の為に。
それが彼の選んだ、彼女達三人への贈り物。
穏やかな昼下がり、彼女達の嬉しそうな表情を見ているだけで、秋斗は充足に満たされる。
空を見上げて緩い吐息を吐き出した。
きっともうすぐ夕焼けが空を淡く染める。四人の時間はもうすぐ終わる。
――けれどもこの先、またこうして笑顔を向け合える時間を沢山……作っていきたいな。
彼女達と笑い合いながら、彼は心に決めたのだった。
蛇足 〜少女達の心〜
「ねぇ、詠ちゃん。秋斗さんはやっぱり……」
「うん。絶対自分でお金を払うつもりよ。そうよね雛里?」
「はい。店長さんの借りを使わないで、あの露店商さんがこの街で商売がしやすいように……そういう人ですから」
「じゃあこれって……贈り物、なんだよね……それに華って……」
喉が渇いたからと彼が飲み物を買いに行った隙に、少女達はひそひそと内緒話をしていた。
キラリと光る銀細工の首飾りを撫でながら、月は顔を真っ赤に染め上げる。同じように雛里も、詠も。
徐晃隊が掲げる想いのカタチは華。それは三人もよく知っている。ならば……彼女達に贈りたかったことに他ならない。
「ボク達に気付かれないようにとか……なんなのよ、もう!」
「あわわ……やっぱり彼と変わらないでし……」
「う、嬉しいけど……やっぱり申し訳ないよぅ……」
無自覚でよかれと思ってやっているのだ。これではお礼さえ言えない。昨日の夜に語っていた通りに、自分勝手に過ぎる想い方。
しばらく茹っていた三人ではあったが、雛里がきゅっと胸の前でその小さな拳を握り、意を決したように口を開いた。
「お、お二人に……提案がありましゅ」
「て、提案?」
「どんなよ?」
訝しげに問いかけるも、話の流れからこの贈り物に対してのことだと読み取れる。
「彼に聞いた話で……“くろーばぁ”という三つ葉の草が四つの葉っぱを付けることがあるそうです。
四つ付いた葉っぱは幸せの象徴で、願いを叶えることがあるとか。それ
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